iDeCo(イデコ)とは、自分で決めた金額をお好きな商品で運用・積み立てできる「自分で作る年金」です。
そんなiDeCoを始めてみたいけど、「iDeCoのメリットがいまいちよくわからない」「どの商品を選んで運用したらいいんだろう?」とお考えではありませんか?
そこで、iDeCoとは何か、どのようなメリット・デメリットがあるのかという基礎知識から、iDeCoで運用・積み立てできる商品の種類、おすすめの銘柄まで、分かりやすく解説します。
あわせてiDeCoを開設できる金融機関も5つ紹介。この記事を最後まで読んでもらえれば、iDeCoに関する悩みは吹き飛びますよ!
ぜひ参考になさってください。
1. iDeCoとは?その種類
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金を自分で運用しながら積み立てをし、原則60歳以降に給付金として受け取ることができるものです。
基本的には、20歳以上60歳未満のすべての方が加入でき、ひとりでも多くの人がより豊かな老後生活を送るために設けられた制度です。
企業型確定拠出年金に加入している方は、企業型年金規約でiDeCoに同時加入できる旨を定めている場合のみiDeCoに加入できます。
iDeCoの商品は、大きく分けて「元本変動型商品」と「元本確保型商品」に分けられ、それぞれを3種類の金融商品に分けることができます。
商品分類 | 概要 | 金融商品 |
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元本変動型商品 | 運用次第で元本が変動するもの。 元本割れするリスクもありますが、大きなリターンを得られる可能性があります。 |
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元本確保型商品 |
元本が保証されているもの。 |
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この章では、それぞれの金融商品について解説していきます。
(1)投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめた上で、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のことを指します。
そのため、定期預金や保険に比べ、投資信託では元本が減ってしまうリスクがあります。
ですが、以下の特徴もあり、運用次第では、大きく自分の資産を増やすことにもつながります。
- 投資信託には、国内株式ものや海外株式ものなど、さまざまな種類があること
- 選ぶ商品によってリスクとリターンの大きさが異なること
そのため、老後資産を効率よく増やしていきたい方におすすめの商品といえるでしょう。
(2)定期預金
定期預金とは、私たちが普段よく利用する銀行預金や郵便貯金と同様に元本が保証される商品です。
そのため、投資した金額が減るようなことはほぼなく、資産運用で絶対に損したくないない方におすすめの商品といえます。
ただし、投資した金額が増えるのは定期預金の利息分のみであり、設定されている定期預金の金利も0.002%以下とする金融機関が多いです。
自分の資産を積極的に増やしていきたいと考えている方には物足りないといえます。
(3)年金保険
年金保険とは、定期預金と同様に元本保証される商品です。
そのため、投資した金額が減ってしまうようなことはほぼなく、「とにかくお金が減るのを見るのが嫌だ!」という方にはおすすめの商品です。
ただし、特に、注意しておきたいの次の2点です。
- 必ず年金保険があるわけではなく、金融機関によっては扱っていない場合がある。
- 保険商品を途中解約すると「解約控除」というペナルティが発生してしまい、元本割れの危険性がある。
投資の世界において、リスクとリターンは比例関係にあるため、お金が減らない(リスクが少ない)ということはすなわち、得られるリターンも少なくなることを意味します。
そのため、投資した金額を減らさずに、少しでもいいのでお金を増やしたい方におすすめの商品です。
2. iDeCoのメリット・デメリット
この章ではまず、iDeCoを始める前に知っておくべきメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット |
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iDeCoの大きなメリットは、節税メリットを得ることができ、また、商品数が絞られているので選びやすい点です。
iDeCoで毎月支払った掛金の全額は「所得控除」の対象となり、また、その運用益がすべて非課税で再投資されます。
また、iDeCoであれば各金融機関によって多少の違いはあるものの、元から選べる商品数が10~30程度に限定されているため、自分好みの商品を見つけやすくなります。
そのため、結局何を選んだらよいのかわからないという状態に陥るケースが少なく、気軽に始めやすいものとなっています。
一方で、iDeCoの大きなデメリットは、原則60歳になるまで資金を引き出すことができず、また、自分で運営管理機関を選び、その上で商品を選択・運用を行う必要がある点です。
もともと、iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」といい、名前の通り、iDeCoは「年金」扱いになり、公的年金が一定の年齢に到達しないと支給されません。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型の確定拠出年金では、自分で運営管理機関を選び、その上で商品を選択・運用することが必要です。
運用商品の中には、元本が保証されているもの(そのかわりリターンが少ない)もありますが、自分の将来的な資産をより多くするためには、リスクをとってリターンを求めていく必要が出てきます。
そのため、iDeCoで資産運用を行う際は、商品に関する知識を身につけておくことが重要です。
3. 【タイプ別】iDeCoおすすめ商品
ここまで、iDeCoの種類、メリット・デメリットについて紹介し、自身で金融機関と商品を選ぶ必要があることを紹介しました。
iDeCoをはじめとした資産運用においては、自分の投資スタイルを理解した上で、商品を選ぶ必要があります。
そのため、この章では、タイプ別にiDeCoのおすすめ商品を紹介した上で、実際に販売されている銘柄と金融機関をあわせて紹介します。
タイプ別 | 該当する種類 | おすすめ商品 |
---|---|---|
絶対に損をしたくない | 「定期預金」がおすすめ | イオン銀行iDeco 定期預金 5年 |
1銘柄で複数の資産に投資したい | 「バランス型ファンド」がおすすめ | eMAXIS Slim バランス (8資産均等型) |
とにかく低コストで運用したい | 「インデックスファンド」がおすすめ | eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) |
(1)絶対に損したくない方には「定期預金」がおすすめ
以下のような方には「定期預金」がおすすめです。
- 絶対に損をしたくない
- 投資したお金が減るのが耐えられない
おすすめする理由としては、定期預金は「元本確保型商品」であるため、基本的には元本が減らないためです。
さらに、iDeCoで積み立てた掛金は全額所得控除され、所得税や住民税の負担が軽くなります。
確定申告や年末調整を行い、所得税や住民税などの課税所得から1年分の掛金を差し引く(控除する)ことで、所得税や住民税の負担額が減ります。
たとえば、毎月の掛金が1万円(年間で12万円)で所得税が10%、住民税も同じように10%だった場合、所得税1万2千円と住民税1万2千円をあわせた2万4千円分の税金が控除されます。
こうした節税効果を考慮すると、普通に銀行預金の定期預金に預けるよりも、iDeCo経由で定期預金として預けたほうがお得です。
下記にiDeCo定期預金の中でも比較的高金利なおすすめの定期預金を紹介します。
#1:「イオン銀行iDeCo 定期預金 5年」(イオン銀行)
定期預金金利(年率) | 口座管理手数料 |
---|---|
0.05% | 0円 |
「イオン銀行iDeCo 定期預金 5年」は、投資初心者の方におすすめできる商品です。
おすすめできる理由としては、下記の通りです。
- iDeCo定期預金の中でも金利が高い
- 口座管理手数料が0円
「イオン銀行iDeCo 定期預金 5年」は、元本保証型の定期預金の商品であり、銀行に預けるよりも金利が高いため、安全に資産を増やすことができます。
#2:「あおぞらDC定期 1年 」(SBI証券)
定期預金金利(年率) | 口座管理手数料 |
---|---|
0.02% | 0円 |
「あおぞらDC定期 1年」は、上記の「イオン銀行iDeCo 定期預金 5年」よりも短い期間で運用を行いたい方におすすめです。
おすすめできる理由は、下記の通りです。
- 満期が1年のiDeCo定期預金の中では金利が高い
- 口座管理手数料が0円
「あおぞらDC定期 1年」も元本保証型の定期預金の商品であり、「イオン銀行iDeCo 定期預金 5年」には劣りますが、5年も待てないという人におすすめです。
(2)複数の資産に投資したい方には「バランス型ファンド」がおすすめ
以下のような方には「バランス型ファンド」をおすすめします。
- 1つの銘柄だけで株式や債券、REITなどの複数の資産に投資をしたい
- 結局どの投資信託を選べば良いのかわからない
おすすめできる理由としては「バランス型ファンド」がさまざまな国や資産に投資を行う商品だからです。
特に「資産」の内訳としては「株式」「債券」「REIT(不動産投資信託)」などにバランスよく投資を行なっているため「株式一本」の投資信託などと比べると、安定的な運用を目指せます。
下記におすすめのiDeCo「バランス型」ファンド(金融機関別)を紹介します。
#1:「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」(松井証券)
純資産額 | 信託報酬(年率・税込) |
---|---|
約640億円 | 0.154%以内 |
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、初めて「バランス型ファンド」を購入する人におすすめできる商品です。
おすすめできる理由としては、下記の通りです。
- この銘柄だけで、国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券、国内および先進国リートなど、さまざまな資産に投資ができるため。
- 基本投資割合が純資産額に対してそれぞれ12.5%となっており、バランス型ファンドの中でも特に投資対象が分散されており、リスクが低めなため。
- 信託報酬(手数料)が「バランス型ファンド」の中では最低水準のため。
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、バランス型ファンドの中でも特に投資対象が分散されているため、まずはこの商品から始めることをおすすめします。
#2:「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」(楽天証券)
純資産額 | 信託報酬(年率・税込) |
---|---|
約2200億円 | 0.57%±0.02%程度 |
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」も、初めて「バランス型ファンド」を購入する人おすすめできる商品です。
おすすめできる理由は、下記の通りです。
- このファンド1本で世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資することが可能
- 株式と債券の投資比率も原則として50:50となっているため、名実ともにバランスの取れたファンド
- 運用資産残高が約570兆円を超える世界最大級の運用会社であり、世界のインデックス運用商品の約4割りのシェアを握っている。
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、純資産額が大きく、世界のインデックス運用商品シェアNO.1の会社ですので、安心して任せることが可能です。
(3)とにかく低コストで資産運用をしたい方には「インデックスファンド」がおすすめ
以下のような方には「インデックスファンド」をおすすめします。
- 資産は効率よく増やしたいけど、手数料などのコストは徹底的に抑えたい
おすすめできる理由としては、通常のファンドと比べてもインデックスファンドは信託報酬(手数料)が低くなっているからです。
インデックスファンドとは、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)などの市場全体の動きを示す指数(インデックス)に連動した値動きを目指す投資信託です。
このインデックスファンドは、市場平均に連動するため、その市場平均を大きく超えた成果を期待することは難しいですが、通常のファンドに比べて、運用自体にはあまり手間がかからないので、信託報酬が年率0.1〜0.5%程度と非常に低くなっています。
下記におすすめのiDeCoインデックスファンド(金融機関別)を紹介します。
#1:「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(マネックス証券)
純資産額 | 信託報酬(年率・税込) |
---|---|
約1750億円 | 0.0968%以内 |
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、投資初心者の方におすすめできる商品です。
おすすめできる理由は、下記の通りです。
- 信託報酬(手数料)が年率0.0968%となっており、数あるインデックスファンドの中でも最低水準のコストである
- 米国の代表的な株価指数であるS&P500指数に連動する運用を通じて、米国市場の約80%をカバーする米国の大型株に投資できる
- 「少額(最低金額100円)」から、米国の主要大型株に「銘柄分散」できて、「円で投資」できる
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、数あるインデックスファンドの中でも最低水準のコストであり、まずは入門として活用してみることをおすすめします。
#2:「ニッセイ外国株式インデックスファンド」(楽天証券)
純資産額 | 信託報酬 |
---|---|
約2020億円 | 0.1023% |
「ニッセイ外国株式インデックスファンド」も、投資初心者の方におすすめできる商品です。
おすすめできる理由は、下記の通りです。
- 信託報酬が年率0.0930%となっており、上記で紹介した「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と同様に業界最低水準
- この銘柄1本で、アマゾンやフェイスブック、マイクロソフト、アップルなどの世界中に影響を及ぼす先進国企業の株に投資できる
「ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、純資産額が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも大きく、検討すべき銘柄の一つです。
4. おすすめの金融機関5選
この章では、実際にiDeCoを開設することができるおすすめの金融機関を5つ紹介します。
下記はおすすめの金融機関の一覧です。
なお、以下の記事にiDeCoも含めMoneyCourtおすすめの証券口座を詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください!
それぞれの金融機関に独自の特徴があるので、あなたの好みに応じて選んでみてください。
(1)SBI証券
「SBI証券」のおすすめポイントは下記の通りです。
- ネット証券の「最大手」である
- 商品ラインアップが豊富
- 信託報酬(手数料)の低い商品を幅広く取り揃えている
どの金融機関を選べば良いのか迷っている方には、まず最初にSBI証券をおすすめします。
(2)楽天証券
「楽天証券」のおすすめポイントは下記の通りです。
- ネット証券の「最大手」であるSBI証券と同様に、幅広く商品を取り揃えている
- 信託報酬(手数料)が低い商品を幅広く取り揃えている
- 楽天証券では「楽天・全米株式インデックス・ファンド」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」などのオリジナル商品が充実
人気商品である「楽天・全米株式インデックス・ファンド」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」をiDeCoで購入できるのは楽天証券のみです。
この2つの銘柄のうちどちらか(または両方を)購入したい方は、迷わず楽天証券を選びましょう。
(3)イオン銀行
「イオン銀行」のおすすめポイントは下記の通りです。
- イオンのショッピングセンター内で展開されている店舗で365日資産運用に関する相談ができる
- 相談相手になってくれるのは、投資に関する専門知識を身に付けたスタッフ
イオン銀行なら、イオンでの買い物ついでに資産運用の相談をすることもできるので、普段から「イオン」と関わりが深い方にはおすすめの金融機関といえます。
(4)マネックス証券
「マネックス証券」のおすすめポイントは下記の通りです。
- 無料でロボアドバイザー(iDeCoポートフォリオ診断)に投資に関する相談ができる
- 信託報酬手数料が低い商品が幅広く揃っている
特に、ロボアドバイザーに関しては「結局どの金融商品を買ったらいいのかわからない…」というユーザーに対して、具体的な銘柄を提案してくれます。
「iDeCoポートフォリオ診断」とは、最新の金融工学理論を駆使して、お客様の年齢や資産運用に関する考え方に適したポートフォリオ(資産配分)をご提案するサービスです。
(引用:マネックス証券│iDeCoポートフォリオ診断)
そのため、投資初心者の方で「対面(窓口)で相談するのはちょっと…」という方には、マネックス証券をおすすめします。
(5)松井証券
松井証券のおすすめポイントは下記の通りです。
- 信託報酬(手数料)を抑えたインデックスファンドを中心に、業界最安クラスの投資信託を11本用意
- 信託報酬が業界最安水準の「eMAXIS Slim」シリーズから、好成績で人気の「ひふみ年金」まで、近年注目されている投資信託をラインアップ
松井証券は、iDeCoの商品数自体が12本のため、他の金融機関などと比べると少ないですが、その12本のうち11本は信託報酬(手数料)が業界最安クラスの投資信託を取り扱っています。(残りの1つは定期預金)
商品数の多さではなく、商品の選びやすさで決めたい方にとって、松井証券は非常におすすめできる金融機関です。
5. 商品や金融機関を選ぶ際のポイント
iDeCoで金融商品を購入する際に気をつけておくべきポイントが2つあります。
この2つのポイントを知っておかないと、効率よく資産運用を行うことが難しくなるので、早めに知っておきましょう。
- 信託報酬(手数料)が低いか
- 取扱商品数が多いか
(1)信託報酬(手数料)が低いか
iDeCoで「投資信託」を購入・運用をする際は、必ず「信託報酬(手数料)」を確認するようにしましょう。
投資信託は、自分が選んだ商品を投資のプロが運用してくれるのですが、その際に「信託報酬」という手数料が必要になります。
この信託報酬は、一般的に年0.5%〜2.0%程度が一般的で、通常は、ファンドマネージャーが積極的に高い利益を狙う「アクティブファンド」よりも、特定の指数への連動を目指す「インデックスファンド」のほうが信託報酬が低いです。
たとえば、年間で積み立てる金額が100万円で、信託報酬が0.2%の場合は、年間で2,000円を信託報酬として支払うことになります。
iDeCoによる積み立ては、長期間行うことを前提としているため、信託報酬が高いものを選んでしまうと、効率よく資産運用をしていくことができなくなってしまいます。
(2)取扱商品数が多いか
iDeCoは、自分がどの金融機関を選択するかによって選べる金融商品が異なります。
幅広い商品を揃え、ラインアップの豊富さを売り出している金融機関もあれば、選びやすいようにあえて商品数を絞っている金融機関もあります。
そのため、扱っている商品数が多い金融機関を選ぶことで、自分が購入したいと思える商品を見つけられる可能性が高くなるため、商品ラインアップが豊富な金融機関を選びましょう。
また、iDeCoの場合、口座を開設した後に金融機関を変更しようとすると、所定の手続きが必要になり、変更時には「移管手数料」というコストが発生してしまいます。
最初のうちは特に「取り扱い商品数の豊富さ」という観点で金融機関を選びましょう。
6. まとめ
この記事では、iDeCoのメリットとデメリットについて解説した上で、iDeCoのおすすめ商品と金融機関を紹介しました。
老後2,000万円問題もあり、何かと話題に挙がることが多くなったiDeCoですが、正しい知識を身につけた上で利用しないと、かえって自分の資産を減らすことにもつながってしまいます。
iDeCoのメリットとデメリットをきちんと理解した上で、今回の記事でご紹介したおすすめの商品や金融機関を検討してみてください。