上場する企業の株式を取引できるのが、IPO株(新規公開株)です。
IPO株は買い付け時の価格(発行価格)よりも高い初値が付きやすく、上場した後すぐに売却すれば値上がり益が見込めます。
そのためIPO株は非常に人気があり、購入時に抽選となるケースがほとんどです。
また基本的には現物取引(100株単位)なので、従来はまとまった資金が必要でした。
しかしネオモバとPayPay証券には、実はIPO株を1株から買えるサービスがあるのです。
少額から始められるので、資金が少なくてもIPO株の買付にチャレンジできますね!
この記事では、IPO株を1株から買えるサービスを比較し解説します。
抽選に当たりやすくなる方法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください!
1.IPOとは?もう少し詳しく解説
IPOとは一般投資家が株式を売買できるよう、企業が証券取引所に上場することです。
英語で「Initial Public Offering」(新規公開)の頭文字を取り、IPOと呼びます。
企業がIPOを行うには、様々な手続きが必要です。そのため数社の証券会社が「幹事証券会社」として企業をバックアップします。
そして幹事証券会社のうち特定の1社が「主幹事証券会社」となり、上場手続きのサポートや会社内容について審査を行うのです。
IPO株の株価(発行価格)は上場する企業と幹事証券会社、機関投資家によって、数段階に分けて調整されます。
そして最終段階で、証券会社を通じて一般投資家の需要を把握した後に発行価格が決まるのです。
このような発行価格の決定方式を「ブックビルディング」と呼びます。
2.ネオモバの「ひとかぶIPO」ってどんなサービス?
(画像出典:ネオモバ)
ネオモバの「ひとかぶIPO」は、通常100株単位で取引されるIPO株を、1株から取引できるサービスです。
(1)「ひとかぶIPO」の取引方法
「ひとかぶIPO」はネオモバに証券口座の開設が終わっていれば「ネオモバ株アプリ」経由ですぐ利用可能です。
アプリのトップ画面から中央下のアイコンを選択し、商品検索画面の中段「IPO取扱一覧」を選択します。
現在募集中のIPO銘柄がある場合は次画面に表示されますので、募集期間内に株数を指定して申し込みます。
株数はあらかじめ用意した購入資金の範囲内で、1株〜99株まで指定して申し込みが可能です。
注文が締め切られた後、抽選が行われます。抽選結果は「当選」「一部当選」「落選」のいずれかです。
「当選」「一部当選」の場合には、当選した株数も併せて通知されます。
通常、IPO株を買いたい場合は証券会社を通じ、ブックビルディング(需要申告)への参加が必須です。
しかし「ひとかぶIPO」ではブックビルディングの参加は必要ありません。
SBI証券(ネオモバの親会社)が幹事証券会社として引受けたIPO株の一部を「ひとかぶIPO」で委託販売しているからです。
ネオモバで取引する時にはすでに株の発行価格が決まっており、そのまま申し込みできます。
IPO株の購入ではブックビルディングで迷いやすいため、参加が必要ないのは大きなメリットです。
ただし購入に際しては、申し込み後に抽選が行われます。
まずは売り出されるIPO株の募集期間を「ネオモバ株アプリ」で確認し、忘れず申し込む必要があります。
(2)「ひとかぶIPO」の売買手数料は?
「ひとかぶIPO」の買付手数料は基本的に無料です。
ネオモバではもともと売買手数料ではなく、月間の取引額に応じた「サービス利用料」がかかります。
たとえば取引額が月に50万円までの取引ではサービス利用料が月220円となり、取引額が増えるとサービス利用料も高くなります。
しかし「ひとかぶIPO」での買い付けについては、サービス利用料の算出対象になりません。
「ひとかぶIPO」で買い付けた株を売却する際には、他の株式と同様に売却手数料がかかります。
つまり「ひとかぶIPO」では得た株を売却した場合のみ、取引がサービス利用料の算出対象になるのです。
(3)「ひとかぶIPO」で注意することは?
「ひとかぶIPO」では、IPO株の購入を申し込んだ時点で買付余力が拘束されます。
購入にはTポイントの利用もできないため、購入したい株数の分だけ証券口座に資金が必要です。
またサービスが一時停止、あるいは翌月のサービス利用状況が一時停止(予定)となっている場合「ひとかぶIPO」への申し込みができません。
抽選時に同様の状態になっている場合も抽選対象から外れてしまうため、サービス利用状況を有効にしておきましょう。
最後に「ひとかぶIPO」で買い付けた株の売却についての注意点です。
IPO株で利益を出すための最も一般的な売却タイミングは「初値売り」とされています。
しかし「ひとかぶIPO」の場合、買い付けた株の売却が可能になるのは上場した後、初値成立日の翌日早朝からです。
初値売りができないため、それ以外の売却タイミングをあらかじめ検討しておくのがおすすめです。
3.ネオモバの「ひとかぶIPO」抽選はどうなっている?
IPO株の購入に際してはほとんどの場合に抽選が行われ、当選確率も非常に低いのが現状です。
もともとIPO株は、値上がり益が見込めるため人気があります。上場している株式なら、人気があれば株価が上がり、購入できる投資家も減ります。
しかしIPO株は必ず決まった発行価格で販売されるため、購入したい投資家もさらに増えるのです。
IPO株の抽選方式には証券会社によって違いがあり、ネオモバの場合は「完全抽選」「優遇抽選」の2段階で抽選を行っています。
- 完全抽選(50%)・・・すべての申込者が対象
- 優遇抽選(50%)
- 若年優遇・・・申込者が20代、30代の場合
- 口座継続優遇・・・3ヵ月以上ネオモバの口座を継続保有している場合
- FX取引口座保持優遇・・・申し込み時点でFX口座を開設済みの場合
販売する株のうち50%について完全抽選を行い、当選しなかった申込者についてさらに優遇抽選で抽選しています。
従ってネオモバでIPO株の抽選に当たるには、優遇抽選を活かせるかどうかが鍵になります。
「口座継続優遇」の適用については口座を開設しているだけでなく、サービス利用料を3ヵ月間支払っている実績が必要です。
「FX取引口座保持優遇」の適用は、抽選の時点でFX口座が開設されていることが条件です。
開設するだけで当選確率が上がるため、FX口座は開設しておくのをおすすめします!
4.「ひとかぶIPO」で取扱があったのはどんな銘柄?
「ひとかぶIPO」は2019年11月から始まったサービスですが、今までに以下14銘柄の取扱実績があります。
※2021年5月現在のデータです。
[2019年:1銘柄]
- (株)BuySell Technologies
[2020年:11銘柄]
- アディッシュ(株)
- (株)Macbee Planet
- (株)Branding Engineer
- (株)まぐまぐ
- (株)タスキ
- MITホールディングス(株)
- (株)クリーマ
- (株)Kaizen Platform
- ウェルスナビ(株)
- (株)交換できるくん
- (株)ファンペップ
[2021年:2銘柄]
- (株)Sharing Innovations
- (株)ベビーカレンダー
「ひとかぶIPO」では、親会社のSBI証券から委託されたIPO株を取り扱っています。
SBI証券は2020年度、14銘柄で主幹事証券会社を務めています。この件数は野村證券、みずほ証券に続いて第3位です。
2020年度はその14銘柄のうち、11銘柄がネオモバで取り扱われました。今後の取扱銘柄にも期待が高まるところです。
5.PayPay証券の「誰でもIPO!」を解説
PayPay証券のサービス「誰でもIPO!」でも、1株からIPO株の購入が可能です。
(1)「誰でもIPO!」はどんなサービス?
「誰でもIPO!」は、PayPay証券に証券口座が開設済みであれば利用できます。
専用のスマホアプリ「PayPay証券 誰でもIPO・PO」を利用して、1株〜100株までIPO株の申し込みができます。
また、PayPay証券のWebサイト上からも申し込みが可能です。
「誰でもIPO!」では抽選方式はすべて完全抽選となり、当選の機会は誰でも平等です。
売却時には初値売りが可能で、「PayPay証券 日米株」アプリを通じて売却します。
買付手数料は無料ですが、売却時にはPayPay証券の日本株と同じスプレッド(取引コスト)が適用されます。
PayPay証券での日本株のスプレッドは、証券取引所の取引時間内は取引価額の0.5%、それ以外の時間帯では1.0%です。
(2)「誰でもIPO!」はブックビルディングあり
ネオモバと違い「誰でもIPO!」では申し込み時にブックビルディングへの参加が必要です。
具体的には、申込価格の仮条件の範囲内で「成行」もしくは「指値」で価格を指定し申告します。
申告した価格が後ほど決まる発行価格を上回らなければ、抽選に進めません。
迷ったときは「成行」を選べば、確実に抽選に進めます。
またネオモバと同様「誰でもIPO!」でも購入資金の拘束があります。
ブックビルディングで申告する株価(成行の場合は仮条件の上限値)と株数に応じ、申し込み前に購入資金の入金が必要です。
(3)これからの展望はどうなる?
「誰でもIPO!」の過去の取扱銘柄は、2018年の「ソフトバンク」1社のみです。
しかし今後、みずほ証券(PayPay証券の親会社)が主幹事証券会社を務めるIPO銘柄について、1株単位で委託販売を行う予定とされています。
2020年度にみずほ証券のが主幹事証券会社となったのは21銘柄で、SBI証券の14銘柄よりかなり多いです。
今後の展望が期待されますね!
参考:ソフトバンク証券子会社、IPO株販売でみずほと協業-23年度黒字化 – Bloomberg
1株からIPO株を買ってみよう!
注目のIPO株を1株から買える、ネオモバとPayPay証券のサービスについて解説しました。
取扱銘柄数からすると、現在のところはネオモバから始めるのがよいでしょう。
ネオモバにはブックビルディングが必要なく、申し込めば必ず抽選に進めます。
また通常は100株単位で取引するIPO株を1株に分けて取引するため、抽選に当たる確率も高くなっている可能性があります。
まずは「ネオモバ株アプリ」をダウンロードして、口座を開設するところから始めてみましょう!
※ライター:鳥飼千愛