株の取引をしていると必ず覚えなければならないのが「権利落ち日」という概念です。
株によって配当金や株主優待を受け取るためには、権利付き最終日までにその株を持っている必要があります。
1日でも権利付き最終日を超えてしまうと、せっかく株を買っても配当金などの権利を得ることができないため、見逃しは禁物!
確実に配当や株主優待を得るためにも、スケジュールはしっかり確認しておきたいものです。
そこで今回は、権利確定日や権利付き最終日の考え方や取引をする際の注意点を解説していきます。
1.権利落ち日について知ろう
配当や株主優待の権利に関する決まり事を知るには、以下の内容について理解する必要があります。
- 権利付き最終日とは?
- 権利落ち日とは?
- 権利確定日とは?
それぞれについて詳しく解説していきます。
(1)権利付き最終日、権利確定日とは?
それぞれの定義については、以下のように覚えておきましょう。
- 権利付き最終日:配当や株主優待などの権利を得るために株を持っておく必要のある最終日のこと
- 権利確定日:配当や株主優待の権利が確定する日のこと
初心者の方は「権利確定日までに株を持っておけば配当や株主優待を貰える権利が貰える」と考えがちです。
しかし、実はこれらの権利を得るためには、権利付き最終日までに株を持っていなければなりません。
権利付き最終日は権利確定日の2営業日前となるため、これを過ぎてから株を保有してもその月に権利を得ることはできないのです。
また、権利付き最終日はあくまで権利確定日の「2営業日前」となり、土日や祝日は営業日にカウントされませんので、日数のカウントには注意しましょう。
(2)権利落ち日とは?
「権利落ち日」とは、自分の株を売っても株主優待や配当の権利は得られる日のことです。
株主としての権利を得るにはあくまで権利付き最終日まで株を所有していれば良く、権利付き最終日の翌日にあたる権利落ち日になるとその銘柄を売却しても配当や株主優待の権利は失わずに済みます。
短期的な配当や株主優待だけを目当に株を保有している人は権利落ち日になると株を売るため、株価が下落してしまうこともあります。
権利落ち日前後は株価の値動きが大きくなる傾向にあることを覚えておきましょう。
2.【ブックマーク用】2021年の権利落ち日や権利確定日カレンダー
権利確定日や権利落ち日は見逃してしまうと大きな損失を被る恐れがあるため、必ずチェックしておきたいものです。
この先1年間の権利落ち日などに関する情報をカレンダーにまとめたので、ぜひ活用してください。
権利付き最終日 | 権利落ち日 | 権利確定日 | |
---|---|---|---|
2021年5月 | 5/27(木) | 5/28(金) | 5/31(月) |
2021年6月 | 6/28(月) | 6/29(火) | 6/30(水) |
2021年7月 | 7/28(水) | 7/29(木) | 7/30(金) |
2021年8月 | 8/27(金) | 8/30(月) | 8/31(火) |
2021年9月 | 9/28(火) | 9/29(水) | 9/30(木) |
2021年10月 | 10/27(水) | 10/28(木) | 10/29(金) |
2021年11月 | 11/26(金) | 11/29(月) | 11/30(火) |
2021年12月 | 12/28(火) | 12/29(水) | 12/30(木) |
2022年1月 | 1/27(木) | 1/28(金) | 1/31(月) |
2022年2月 | 2/24(木) | 2/25(金) | 2/28(月) |
2022年3月 | 3/29(火) | 3/30(水) | 3/31(木) |
2022年4月 | 4/26(火) | 4/27(水) | 4/28(木) |
3.権利落ち日が近いときに気を付けるべきこと
権利落ち日が近くなると、権利関係や株価の変動など気を配ることが多くなります。
ここでは、権利落ち日になってから後悔しないため気を付けるべきことをご紹介します。
(1)権利確定日の2営業日前までに購入しなければ配当の権利は得られない
権利確定日までの計算を間違えると配当などの権利を得ることはできません。
配当や株主優待は権利付き最終日を迎えた時点で株を持っているかどうかが重要になります。
例えば、権利付き最終日の1日だけでも株を持ってさえいれば、配当や株主優待を受けることができるのです。
具体例を交えて解説しましょう。
例えば、30日にその月の権利確定日があるとします。
この場合、権利付き最終日は権利確定日の2営業日前になるので、上記のカレンダーで言うと25日(金)となります
権利付き最終日はあくまで権利確定日の「2営業日前」なので、カレンダーにある土日や祝日などの休日は営業日にカウントしません。
したがって、この月に配当や株主優待の権利を得るためには、25日までに株を購入し、保有しておかなければならないのです。
また、権利付き最終日の翌営業日が権利落ち日となります。
権利落ち日になると株を売っても株主としての権利は失わないので、この月は28日(月)になれば株を売却しても良いということになります。
(2)株価の大きな変動に注意
高配当の銘柄は権利付き最終日を迎えると株価が上昇する現象が多々見られます。
これは、高配当を得るために権利付き最終日で駆け込みで株を買う人が増えるため起こる現象です。
同様に、人気の株主優待は優待を得るために株自体が変われるため、その銘柄の株価が上昇することがあります。
しかし、権利付き最終日を迎えても株を所有しているだけで権利を得られるということは、権利付き最終日の翌営業日である権利落ち日に株を売ったとしても配当金や株主優待の権利は保てるということです。
そのため、権利落ち日を過ぎると配当や株主優待を目的としていた投資家が株を売り始めるため、株価が下落してしまう可能性もあります。
権利付き最終日を迎える直前で株を買い、権利落ち後にすぐ売ること自体は可能ですが、株価に大きな変化が生じることが予想されるため、場合によっては大きな損失が出てしまうこともあります。
これらの日に短期的な取引をする場合は注意しましょう。
3.リスクなしで株主優待をゲットする方法
株主優待を目当てに株の取引をしているものの、権利落ち日前後での価格変動のリスクが気になり、なかなか取引に踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここからはリスクなしで株主優待をゲットする方法をお伝えします。
(1)空売りによる株主優待の獲得方法
まずは、欲しい株主優待のある銘柄を権利付き最終日までに購入します。
これを「現物買い」と言います。
次に、購入したと同時に同じ銘柄を信用売り(空売り)するのです。
通常の株の取引では、株を安値で買い、高値で売るのが基本です。
しかし、信用取引では、購入していない株を先に売り(空売り)、安値になったら買い戻すという方法を取ることができます。
例えば、100万円分の株を口座登録している証券会社に借り、空売りをします。
その後、空売りした株が95万円になったタイミングで買い戻すし、あらかじめ借りていた株を証券会社に返します。
そうすると、差額の5万円が手元に残り、これが利益となるのです。
お目当ての株主優待の銘柄を現物買いと空売りを駆使して即座に売買することで、価格変動が生じる隙間を無くし、価格変動リスク無しで優待をゲットすることができるのです。
配当金は目的とせず、あくまで株主優待のみを目的としている方にとっては、絶対に知っておきたい手法です。
(2)株主優待狙いの空売りの欠点
上記のように空売りをすることで、価格変動のリスクをほぼゼロにしながら株主優待を得ることができます。
しかし、この手法は株の売買にかかる手数料や、信用取引で証券会社からお金を借りる際に発生する「貸株料」も負担する必要があります。
また、場合によっては「逆日歩」というコストが発生することもあります。
ある銘柄に信用売りが集中して株不足になった場合、機関投資家から不足した分の株を借りる必要があります。
この費用のことを逆日歩と言うのです。
逆日歩は株取引が終了するまで発生するかどうかわからないため、通常の取引を想定していると思わぬ費用負担となることがあります。
また、逆日歩は借りた日数に応じて加算される費用となっているため、休日などが重なり返済できない日が続くと、その分コストも大きくなります。
(3)逆日歩が発生しない一般信用取引で費用を抑える
株主優待を狙う場合は信用取引による空売りが効果的ですが、実は信用取引には2種類の取引が存在します。
1つは「一般信用取引」、もう1つは「制度信用取引」です。
実を言うと、逆日歩が発生する取引は「制度信用取引」のみであり、「一般信用取引」では投資家・証券会社間で取引が完結する構造のため、逆日歩は発生しません。
一般信用取引では機関投資家が間に入ることはなく、彼らに株を借りる必要はないからです。
一方で、一般信用取引では、権利付き最終日に特定の銘柄の在庫が無くなってしまい、空売りができなくなってしまう場合もあります。
一般使用取引は貸株料自体が制度信用取引よりも高め設定されていますが、いつ発生するかわからない逆日歩のコストを考慮すると、一般信用取引で取引を行う方が安心できるでしょう。
4.株主優待をもらうなら…マネックス証券で口座開設
株を保有して配当金や株主優待を得るには、まず証券口座を開設しなければなりません。
マネックス証券であれば、一般信用取引により逆日歩のコスト負担を避け、初心者でも効率的に株主優待を取得できます。
オンライン口座開設であれば書類のやり取りは一切なく、すぐに申し込みができるので、ぜひ登録してみてください。
まとめ
権利落ち日、権利付き最終日、権利確定日などの定義や取引をする際に気を付けるべきポイントについて解説してきました。
せっかく保有した銘柄の配当や株主優待を取り逃さないためにも、今回掲載した権利確定日カレンダーなどを有効活用し、権利落ち日まで誤って株を手放さないように気を配りましょう。
また、株主優待を効率的に得るためには、信用取引で株価変動の影響を抑える方法が活用できます。
信用取引は一見複雑ですが、証券会社によって逆日歩が発生しないプランが用意されているので、初心者でも安心して取引を行うことができるでしょう。
※ライター:江連良介