PayPay証券代表の「わかりやすさ」へのこだわりとは。ユーザー急増の背景に迫る

2021年2月1日に「One Tap BUY」から「PayPay証券」に名を変えて早半年。PayPay証券のユーザー層は大きく拡大しています。

特にPayPay内のミニアプリで、簡単にポイント運用ができる「ボーナス運用」は、2020年4⽉15⽇のサービス提供開始から約1年で300万運⽤者を突破。早いスピードでユーザーに浸透しているところです。

PayPay証券は今後どのように進化していくのか?現状から将来像まで、PayPay証券代表取締役社長 CEOの内山昌秋氏にうかがいました。

「ボーナス運用」は、投資初心者向けの「0.5ステップ」

PayPay証券取材2−1

プロフィール

PayPay証券代表取締役社長 CEO 内山昌秋氏

1986年4月、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)に入社。13年間従事した後、大手コンサルティング会社アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。その後、トレードウィン株式会社(現SBIトレードウィンテック株式会社)を設立し、SBIグループの証券基盤システムの開発を担う。

2006年以降、岡三オンライン証券株式会社、SBIネットシステムズ株式会社、SBI-LGシステムズ株式会社等、複数の会社の役員を歴任。2016年5月より株式会社One Tap BUY(現PayPay証券株式会社)に執行役員システム統括として参加。2019年7月より代表取締役社長CEOに就任。

——PayPay証券が名称変更して約半年を迎えます。変化は大きかったのでしょうか。

そうですね。PayPay証券の誕生後、ジャパンネット銀行が「PayPay銀行」になるなど、相次いでPayPayの名を冠するサービスが増え、ブランドとしての統一感が生まれるようになりました。結果として、弊社の新規口座開設は、去年の同時期から比べて約4倍に増加しております。

証券会社のユーザーは基本的に男性の方が圧倒的に多いのですが、弊社では女性ユーザーが急伸。コロナ禍での投資意識の高まりや、PayPay、「ボーナス運用」などの影響は大きいかもしれないですね。

——伸びの背景にあると考えられる「ボーナス運用」とは、どのようなサービスですか?

「ボーナス運用」は、PayPay内のミニアプリで、PayPayボーナスというポイントを運用できるサービスです。口座開設やID登録、手数料等の費用が不要で簡単に取り組めるのが特長となっています。

このサービスは社名変更に先駆けて、2020年4月15日から提供をスタートしました。これは「スーパーアプリ構想」の事業戦略の一環として計画したものです。

「ボーナス運用」はここ半年で利用者が大きく伸び、サービス開始から約1年で300万運用者を突破。特に3月から4月にかけては、約1か月で、100万運用者が増加しておりますので、やはり名称変更の影響は大きいのではないでしょうか。

——ポイント運用に特化したサービスを作った狙いは何でしょうか。

まだ投資や資産運用をしたことがない方に「0.5段目のステップ」を用意して、投資に親しんでいただくためです。

老後資金が不足すると言われる「2,000万円問題」や、コロナ禍での経済不安などを通して、資産運用・資産形成に興味を持たれた方は多いと思います。

しかし、いざ投資をやってみようと思っても、何の商品をいつどれくらい買ったらいいのか、まったくわからない。投資初心者の方にとって、投資の第1ステップを登るのはとても難しいのです。

この1ステップを0.5ステップに下げて、より初心者の方が取り組みやすいサービスとして、「ボーナス運用」を提供しています。

——このサービスが投資初心者に受け入れられた理由は何だと思いますか?

1番の理由は、現金ではなく付与されたポイントを運用できる点です。初心者の方ほど、「損したくない」という気持ちは大きいと思います。でもPayPayでの支払いで付与されたポイントなら、現金よりも投資に回しやすいですよね。

また、投資対象を選ぶ手間が少ない点も魅力です。「ボーナス運用」は、短期運用向けの「チャレンジコース」と、長期運用向けの「スタンダードコース」の2種類から選ぶだけで、すぐに始められます。

徹底した「わかりやすさ」が人気の秘密

PayPay証券取材2−2

——PayPay証券はとことんユーザーに寄り添ったサービスを提供されています。サービスのキーとなる考え方は何でしょうか?

私たちが常に意識しているのは「簡単でわかりやすい」ということ。

パッと見てすぐに操作できるようなアプリケーション作りや、誰でも理解できるようなサービス作りに取り組んでいます。

わかりにくいことを難しく説明するのではなく、金融のプロである金融事業者として、難しいことをいかにわかりやすく説明して、万人に理解いただくべきだと思います。

前回の記事でも言及されていますが、今は株式チャートを作ることは考えていません。現時点のサービスにおいては、「チャートを見ながら一喜一憂する」というステージは不要だと考えています。

——PayPay証券のメインサービス「日米株アプリ」では、このわかりやすさがどのように反映されているのでしょうか?

日米株アプリで意識しているのは2点あります。1点目は、生活に密着している有名企業を厳選して扱っていることです。

たとえ業績が良くても、知らない企業の株の購入を検討してもらうのはなかなかハードルが高いことだと思います。

でも「AppleやFacebookの株を買いませんか?」と言ったら、すぐに会社やサービスが頭に浮かびますよね。こうした親近感のある企業や、生活の圏内にあるような企業の銘柄を選定して、取引できるようにしています。

2点目は、アプリ上で企業ロゴや社長の顔写真が表示される点です。

Amazonのジェフ・ベゾス氏(2021年7月〜9月期に退任予定)や、テスラのイーロン・マスク氏など米国の有名企業であれば、社長の顔や人柄がよく伝わっており、親近感を持ちやすいと思います。

しかし日本企業で社長の顔が分かるのは、残念ながら一部の企業に限られます。

上場企業の社長に直接ヒアリングや取材をするファンドマネージャーや経済専門誌の方などと異なり、個人の投資家からは社長の顔が見えにくいです。せめてアプリ上では企業の特色がしっかり伝わってほしいと思い、企業ロゴや社長の顔写真を入れるようにしています。

——日本株と米国株とでは、どちらの方が多く取引されているのでしょうか?

正確な数値は公表しておりませんが、米国株の方が活発に取引されている印象があります。

弊社のユーザーは20代〜30代の若い方が比較的多いこともあり、米国株への抵抗が少ないと思います。また米国株には生活に密着していて、かつ社長の顔や人柄が分かるような企業・サービスが多いですよね。

米国はコロナショックが起きた時点で金利を大きく下げ、株式市場にお金を大量に供給して回復を図りました。現在は金利を段階的に引き上げる「テーパリング」がいつ起こるか、注目されています。

世界中がコロナショックという同じトラブルに見舞われながら、しっかり経済政策を講じて対策したのが米国で、現在は株式市場も復調しました。こうしたマーケットの強さが、米国株人気を支えていると思います。

米国市場に学びながら、日本企業の魅力を伝えていけるよう、我々も証券会社という立場からサポートしたいと考えています。

画一的ではない「テーラーメイド」のサービスを提供

PayPay証券取材2−3

——内山社長は今後、PayPay証券をどのようなサービスに育てていきたいと考えていますか?

現状はPayPayという決済サービスと連携しているので、ユーザーに金融サービスを身近に感じていただけるプロダクト作りに注力しています。

その後のステップとしては、「ボーナス運用」から投資を始めた初心者層が、「投資を始めておいてよかった」と思えるような次のサービスを導入予定です。

「ボーナス運用」を始めて1,000円が1,150円に増えたら、ジュースを1本無料で買えますよね。そんな小さなプラスを得ながら投資経験を積んでいけば、次は日米株アプリで現金を使った投資にチャレンジしやすくなります。

1,000円単位で日米株を取引するのに慣れ、さらに利益を狙いたいと思ったら、「日本株CFD」「10倍CFD」というレバレッジを効かせた投資にも挑戦。

もし値動きの大きな取引は向いていないと思ったら、「つみたてロボ貯蓄」で定期的に自動積立をする方法もあります。

私は、投資経験はこのように「積み上げていくもの」だと考えています。経験を積んで、現在のサービスでは満足がいかなくなった投資中級者向けのステージを、今後用意していきたいですね。

実はもう次のサービスは、第2弾、第3弾、第4弾くらいまで用意できているんです(笑)ぜひ楽しみにしていてください。

——他にサービス作りで検討されていることはありますか?

金融サービスに、ユーザーに合わせたテーラーメイドの要素を付加することです。

例えば不動産や自動車を販売するときに、「子どもが2人いるなら、こういう間取りの家がおすすめです」「サーフィンによく行く方には、サーフボードが積めるこの車が人気です」など、それぞれの生活スタイルや好みを反映した提案をしますよね。

従来から証券会社が提供している金融サービスはどこか画一的で、ユーザーが商品に合わせないといけない場面も多々あります。このようなサービス設計は乱暴ではないでしょうか。

弊社はユーザーに沿ったテーラーメイド性のあるサービスを提供していきたいですね。

より生活に寄り添った金融サービスを提供

PayPay証券取材2−4

——今後実現したいビジョンはありますか?

PayPayには、1つのアプリの中で決済や金融サービスをすべて完結させる「スーパーアプリ構想」があります。

「ボーナス運用」は、このスーパーアプリ構想の一角を担っています。

PayPayなどの決済サービスが普及した結果、スマホがあれば財布いらずで生活できるようになりました。こうしたユーザーの感覚を捉えたサービス作りをしていきたいと思います。

——最後に読者に向けて、メッセージをお願いいたします。

PayPay証券は今後、皆さんの生活に寄り添ったサービスに成長していきたいと考えています。

PayPayのスーパーアプリが皆さんのスマホに当たり前のように入っていて、日々の支払いに使っていただく。さらに、将来の結婚資金や住宅資金などの「目的を持ったお金」が積み立てられて、余裕があればリスク商品といわれる株式などが購入できる。

このようにユーザーの生活に密着したサービスがあれば、日々の生活が便利になります。そして自然と金融や投資に関する知識がつき、金融トラブルも減少するのではないでしょうか。

日本のネット証券では、多いところでも500万〜600万口座しか開設されていません。しかし米国のスマホ証券「ロビン・フッド」ではすでに、3,000万人以上が使っています。

今後、生活に寄り添える金融サービスをしっかりと作っていき、より多くのお客様にご利用いただける証券会社に成長できるよう尽力していきます。

INFORMATION

PayPay証券では現在新たなキャンペーンをスタートしています。ふるってご参加ください。

新規口座開設した方に抽選で10万円をプレゼント

新規でボーナス運用を始めた方全員に、100ポイントをプレゼント

PayPay証券

※取材・文:金指 歩、写真:山本春花

渡辺 広康

渡辺 広康公認会計士・税理士

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【監修者】在学中に公認会計士資格を取得。金融機関等へのコンサルティング業務を経験し、M&Aや会計コンサルティング業務、投資・資産運用に対するアドバイザリー業務を行っている。

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