「貯蓄から投資へ」という流れが進む中で、株式投資を始めてみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
ただ「投資って難しそう」「投資はよくわからない」と、心理的なハードルを感じている人もいると思います。
株式投資は怖いものではなく、しくみと注意点を理解して取り組めば、資産運用を手助けしてくれるものなのです。
そこで今回は、初心者が知っておくべき株式投資の基礎知識と注意点について解説します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1.株式投資とは
株式投資とは、資金を集めたい企業に対して出資し、代わりに得た株式からの利益を受け取る投資方法です。
私たちの暮らしを支えるのは、さまざまな企業の活動ですよね。
友達とスマートフォンで連絡が取れるのも、スマートフォンをつくる会社や通信網を整備する会社があって、連絡が取れるアプリケーションを開発・提供する会社が存在するからです。
こうしたさまざまな企業活動を行い利益を得るために、企業はお金が必要ですよね。
企業はお金を用意するために「株式」を発行して出資してくれる人を募ります。
出資者はこの「株式」を購入することで企業に出資し、「株主」となることができます。
「株主」と言うとお金持ちのイメージを持つかもしれませんが、株主になるのは意外と簡単なんです。
2.【基本】株式投資で得られる3つの利益
好きな企業の株主になれるということ自体に魅力を感じる人も多いですが、ほかにも株式投資の魅力はたくさんあります。
まずは、代表的な3つの利益を押さえておきましょう。
では順に解説します。
(1)株主優待で商品券や企業のオリジナル製品がもらえる
株主優待をもらって生活をする有名人を、テレビで見たことがありませんか?
株主優待とは、企業が株式購入のお礼として自社製品や商品券、割引券などを株主にプレゼントするしくみのことです。
株主優待は非常にイメージがつきやすい、株式投資の魅力ですね。
実際に、株式投資を始めたきっかけとして「株主優待が受けられるから」という理由を挙げる人は実に36.2%*もいます。
株主優待目的で株式を購入することで、株価の値下がりをあまり気にせずに済む、好きな企業の製品を楽しめるなどのメリットがあります。
実は株主優待は日本特有のしくみで、他の国ではほとんど見られません。
例えばアメリカでは、配当や値上がり益で株主に還元していくのが一般的です。
しかし、日本では株主優待を楽しみにしている株主も多いので、多くの企業が自社株式のアピールとして、株主優待を実施しています。
好きな企業の自社製品がもらえたり、割引券や商品券がもらえたりするおトクな株主優待、ぜひ活用したいですよね!
*参考:日本証券業協会「平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)」
(2)値上がり益(キャピタルゲイン)が期待できる
株式投資の一番の醍醐味は、株価の値上がり益を得ることです。
株価が上がれば上がるほど株主は儲かるので、これを楽しみに株式投資をしているという人も多いでしょう。
株価が購入時の価格よりも上がったら利益が出ますし、下がったら損をしてしまいます。
たとえば、500円で買った株が600円まで値上がりしたら、1株当たり100円の利益が出ます。
日本株式は基本的に100株を1単元として購入するので、100円×100株=10,000円の利益です。
株価は一般的に、その企業の成長性に期待が持てるときに上昇します。
もちろんほかの理由で株価が上昇することも考えられますが、成長が見込めそうな企業の株はみんなが欲しがるので、価格が上がっていきやすいです。
将来が楽しみだなと思える企業を選んで値上がり益を狙うというのが、正攻法でしょう。
(3)配当金がもらえる
株式投資の楽しみは株主優待や値上がり益だけではありません。
忘れてはならない株式投資の魅力の一つとして、配当金を得られることが挙げられます。
企業がさまざまな企業活動で得られた利益を、配当金として株主に還元してくれるのです。
たとえば、1株あたり50円の配当を出す企業の株を1単元(100株)持っていれば、1株あたり50円×100株=5,000円、つまり5,000円を配当金として受け取ることができるのです。
中には「配当貴族」と呼ばれる銘柄もあり、長期間にわたって配当金をふやし続けている会社もあります。
配当金目的で株式投資を始めるなら、いわゆる「高配当銘柄」に投資してみるといいでしょう。
3.初心者が株式投資で心がけるべき4つのポイント
ここまで株式投資の魅力について見てきましたが、初心者が株式投資を始めるにあたって注意すべきこともあります。
それは次の4つです。
株式投資を始める前に、この内容だけはおさえておきましょう!
(1)【鉄則】余裕資金で投資する
株式投資に限らず、投資は余裕資金で行うというのが鉄則です。
余裕資金で行うということはつまり、「なくなったら生活に困るお金」を投資に使わないということです。
株式投資には、投資資金がゼロになるリスクもあります。
さらに、入金したお金以上の取引ができる「信用取引」だと、投資資金がマイナスになり、追加でお金が必要になることもあります。
もちろんゼロやマイナスにならない工夫をしながら投資をするのですが、いつもうまくいくとも限りません。
投資をする際には必ず余裕資金で行うようにしましょう。
(2)分散投資を忘れずに
株式投資を行ううえで重要なのは、分散投資を意識することです。
投資の格言の一つに「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。
たとえば10個の卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落としたらすべての卵が割れてしまいます。
しかし、10個の卵を複数のカゴに分けて盛れば、どれか1つのカゴを落としてしまったとしても無事に生き残る卵があるはずですよね。
投資も同じで、異なる特徴を持った投資先にお金を分散して投資しましょう、ということです。
たとえば、手元に100万円あったらそのすべてを使って同じ企業に投資するのではなく、25万円ずつ分けてA社、B社、C社、D社という4つの企業に分けて投資するのです。
そうすれば、たとえA社が倒産してしまったとしても、ほかの企業に投資したお金は生き残ることができます。
また、A社に投資するときにも、タイミングをずらして、なるべく低い価格で購入していけば、大きな損失を防げる可能性が高まります。
大きな損をしないためにも、分散投資は必ず意識しておきましょう。
(3)損切りと利益確定のルールを決める
株式投資においては、損切りや利益確定のルールをきちんと決めて、どんなときもそのルールを守るのも大事です。
たとえば、こんなルールを定めておきます。
- 購入価格よりも10%株価が下がったら売ろう(損切り)
- 購入価格よりも5%株価が上がったら売ろう(利益確定)
人間は感情に流されやすい生き物です。
株価が順調に上がっていても、「もう少し上がるかもしれない」と思って保有し続けると、株価が下がって売るタイミングを逃すこともあります。
自分の都合のいい方向に株価が動くとは限りません。
自分の中でしっかりとルールを決めて、その通りに取引を繰り返すことで、パフォーマンスが安定してくるはずです。
(4)取引手数料が安い証券会社を選ぶ
株式投資をするうえで重視すべきなのは、コストとなる取引手数料です。
株式投資をする際は、なるべく取引手数料が安い証券会社を選びましょう。
(例)1株1,000円の株を1単元(100株)売買するとき、手数料が3,000円かかる場合
- 株式購入時、買付手数料として3,000円を支払う(ー3,000円)
- 1株当たり50円値上がりした(+5,000円)
- このタイミングで株を売却すると、売却手数料として3,000円かかる(ー3,000円)
→結果的には、マイナス1,000円になってしまう!
大手証券会社の支店窓口に行って少額の取引をしようとすると、このような「手数料負け」が発生する可能性が高くなります。
株式投資初心者なら、まずは手数料が低めのネット証券で取引するのがオススメです。
まとめ
「株式投資って難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、何事も最初は誰だって初心者です。
勉強でもスポーツでも、少しずつ教えてもらったり勉強したり、実際にやってみたりして慣れていくものですよね。
株式投資も同じで、自分で勉強したり、実際に少額から投資を始めてみたりして覚えていくものです。
慣れてしまえば資産形成の強い味方になってくれるので、頑張って勉強していきましょう。