「投資信託における利回りって何かよくわからない…」
「投資信託の運用において、利回り以外に意識すべきポイントってあるのかな…」
このようにお考えではありませんか?
実は、投資信託の利回りの考え方や運用のポイントは、それぞれ細かい説明を見ると簡単に理解できます!
この記事では、投資信託における利回りの算出方法や投資信託の平均利回り、投資信託を選ぶ際に利回り以外に注意すべきポイントを徹底解説しています。
この記事を最後まで読めば、投資信託における利回りについて理解できるのはもちろん、失敗しない投資信託の選び方まで知ることができますよ!
1. 投資信託の利回りとは
投資信託における利回りとは「投資信託を運用した場合に、自分が投資した金額に対してどれほどの利益が得られたのか」を表す数値のことです。
利回りは下記の計算式で算出することができます。
利益 ÷ 投資金額 × 100
たとえば、1年間で20万円投資して、1万円の利益を得たと仮定したとき、この場合の利回りは「1万円÷20万円×100=5%」となります。
利回りは基本的に1年単位で算出するのですが、数年単位で利回りを算出する場合は、下記の計算式で算出できます。
(利益 ÷ 運用年数) ÷ 投資金額 × 100
5年間で50万円投資して、10万円の利益を得たと仮定したとき、この場合の利回りは「(10万円÷5年)÷50万円×100=4%」となります。
2.利回りと利率・騰落率・パフォーマンスの違い
投資信託を検討していると以下の言葉をよく目にするのではないでしょうか。
- 利率
- 騰落率(とうらくりつ)
- パフォーマンス
これらは同じように見えて利回りとは違うものであり、投資信託を検討する際に重要なものとなります。
そのため、これらの違いについて計算式を踏まえて分かりやすく説明します。
この章を読んでしっかりと違いを理解できるようになりましょう!
(1)利回りと利率の違い
「利率」は、預貯金や債券などに預けた金額に対して「どれだけの利息が発生したのか」をパーセンテージで表すものです。
一方の「利回り」は、投資信託を売却して得た「売却差益」をも含む「すべての利益の比率」を数値で表したものです。
「利率」は以下の計算式で表すことができます。
受け取った利息 ÷ 預けた金額 × 100
たとえば、預貯金や債券などに10万円預けて、1年後に100円の利息を受け取ったとしたとき、この場合の「利率」は「100円÷10万円×100=0.1%」となります。
(2)利回りと騰落率の違い
「騰落率」とは、投資信託の基準価額が、ある一定の期間でどのくらい変動したのかをパーセンテージで表すものです。
たとえば、基準価額10,000円の投資信託が1年後に11,000円に値上がりした場合の騰落率は10%となります。
「利回り」は「利益」を基準に算出するのに対して「騰落率」は「値動き」を基準に算出するところが「利回り」と「騰落率」の違いです。
(3)利回りとパフォーマンスの違い
パフォーマンスとは、投資信託において、運用によって得られた収益が「ベンチマーク」と比べて、良かったのか、悪かったのかを示した指標です。
「ベンチマーク」とは、投資信託などが運用の指標としている基準を指し、多くの場合、投資信託が対象とする商品や市場の指数が用いられます。
たとえば、日本株に投資をする投資信託の場合は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数がベンチマークにあたります。
このベンチマークに対して、実際の投資信託の利回りが良かった場合は「パフォーマンスが良い」、悪かった場合は「パフォーマンスが悪い」といいます。
例えば、ある投資信託の利回りを10%とし、この投資信託のベンチマークの利回りが7%とすると、この場合は、ベンチマークよりも3%高い運用利回りを出していることになるので「パフォーマンスが良い」と評価できます。
対照的に、ある投資信託の利回りが5%で、ベンチマークの利回りが10%だった場合は、ベンチマークよりも低い運用利回りを出したということになり、この場合は「パフォーマンスが悪い」と評価されます。
パフォーマンスについては、投資信託の運用会社が「運用レポート」としてまとめてくれている場合があるので、投資信託を購入するときは「利回り」と一緒に「パフォーマンス」も考えて判断しましょう。
3. 投資信託の利回りの平均
この章では、投資信託の平均的な利回りについて紹介した後に、メガバンクの定期預金の金利と比較することで、利回りの目安を把握してもらいます。
(1)投資信託の平均的な利回り
投資信託は、投資する対象(株式、債券、不動産)や投資する場所(国内、海外)が銘柄によって著しく異なるため、平均的な利回りを算出することが難しいですが、一般的には、5~10%と言われております。
例えば、一般的に安定と言われるインデックス型投資信託であっても平均利回りは4~6%、不動産投資J-REITという不動産投資信託の平均利回りは4.24%と言われています。
また、マネックス証券の「分配金利回りランキング(TOP50)(2019年11月01日〜2020年10月31日)」を見てみると、過去一年間、実際に支払われた分配金の合計額をもとに計算した分配金利回りは、約4%~30%となっております。
このように利回りにばらつきがあるため、投資信託全体の平均を考えるよりも、各銘柄が過去にどれだけの利回りを生んできたのかについて調べた方が、結果的に効率の良い利回りを実現することが可能です。
調べ方のポイントについては、「4. 初心者が投資信託を選ぶ際の6つのポイント」で解説します。
(2)定期預金の金利と投資信託の利回りの比較
リスクが少なく、安定した資産運用先として「定期預金」がありますが、資産を効率良く増やしていきたい方には、あまりおすすめできる選択肢ではありません。
なぜなら、メガバンク(三菱UFI銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)の定期預金金利はすべて0.002%となっており、これでは仮に1,000万円預金したとしても1年後に受け取れる利息はわずか200円となってしまうからです。
仮に、この1,000万円を、平均的な利回りが約5%と言われている「株式」に絞った投資信託で運用すると、年間で約50万円の利益を生み出すことができます。
そのため、資産を効率よく増やしていきたいと考えている方にとっては、定期預金で資産運用するよりも、投資信託で資産運用を行った方が、効率的に自己資金を増やすことができるといえます。
4. 初心者が投資信託を選ぶ際の6つのポイント
投資信託の選び方において「絶対的な正解」というのは存在しないのですが、失敗をある程度避けることができる選び方はきちんと存在しています。
この章では、特に投資初心者の方向けに、投資信託を選ぶ際に気をつけて欲しいことや事前に知っておいて欲しいことを紹介していきます。
下記は投資信託の選び方一覧です。
特に、「運用成績について」と「運用コストを確認する」の項目は必ずチェックしましょう。
それでは、説明します。
(1)運用成績を確認する
投資信託を選ぶ際の一つ目のポイントは、「運用成績」に着目して選ぶことです。
なぜなら、運用成績は、実際にその運用がどうなっているのかを定量的かつ客観的なデータを示しているためです。
運用成績を確認する際には、特に次の3点に注目しましょう。
- 最低でも3年以上の運用成績を確認する
- ベンチマークと比較する
- 値動きの大きさを確認する
これらを確認して選ぶことで投資信託で失敗する可能性が低くなること間違いなしです。
それでは、一つずつ解説していきます。
#1:最低でも3年以上の運用成績を確認する
投資信託を選ぶ際には、慣れないうちは運用開始から3年以上の銘柄を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、1年や2年の運用で成果を上げていたとしても、それはたまたまその時の市況が良かっただけの可能性があるからです。
投資信託を購入する際には、過去の運用成績と見比べて、購入するかどうかを決定する機会が多いのですが、その際に最低でも3年以上の運用期間がないと、十分な判断ができなくなってしまいます。
このため、投資信託を選ぶ際には、最低でも3年、できれば5年以上の運用成績を確認するようにしましょう。
#2:ベンチマークと比較する
運用成績を見るときは、ベンチマークと比較する方法もあります。
通常、ベンチマークは対象としている市場の平均を表すとされているため、ベンチマークを上回る運用成績であれば、自分が投資している銘柄のファンドマネージャーが平均以上の成果を出したということになります。
このため、運用成績を見るときは「収益率」だけでなく、ベンチマークを確認する癖をつけましょう。
#3:値動きの大きさを確認する
投資信託を選ぶ際には「値動きの大きさ」に注意してください。
なぜなら「値動きが大きい」とはつまり、リスクを大きくとって運用している可能性があるからです。
投資信託の値動きの大きさは、「基準価額」と「騰落率」の変化を見ることで確認できます。
特に「騰落率」の数値が大きいほど、リスクを積極的にとっている(値動きが激しい)投資信託の可能性があります。
騰落率については、「(2)利回りと騰落率の違い」で確認ください。
このような投資信託は、長期的には安定した収益を出せないといえます。
(2)運用コストを確認する
投資信託にかかるコストとしては、「販売手数料(買付手数料)」「信託報酬」「信託財産保留額」「税金」などがあり、この中でも「販売手数料」と「信託報酬」は投資信託の二大コストと言われています。
- 販売手数料:投資信託を購入する際に、販売会社に支払う手数料のこと。販売会社によって無料の場合があります(ノーロード)。
- 信託報酬:投資信託を運用・管理してもらうための経費として、投資信託を保有している間は、投資家が支払い続ける費用のこと。
一般的に投資信託の信託報酬は、運用成績がファンドマネージャーの手腕にかかっている「アクティブファンド」よりも、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウなどの代表的な指数に連動する「インデックスファンド」の方が低い傾向にあります。
投資信託では、運用が長期になればなるほど「信託報酬」を低く抑えた方が効率的に資産を増やせます。
そのため、投資信託を選ぶ際には、運用成績などの収益率だけでなく、費用についてもしっかり把握しておきましょう。
(3)純資産残高を確認する
純資産残高とは、投資信託の「運用総額」を表しており、投資信託の人気や規模を示す指標の1つです。
投資信託を長期的かつ安定的に運用していくためには、ある一定以上の規模が必要とされており、目安として、「純資産額が30億以上」と言われております。
なぜなら、投資信託の純資産残高の規模が小さいと、さまざまな銘柄に投資を行うことができず、分散効果が小さくなります。
分散効果が小さくなると、資金の出入りに関する影響を大きく受けてしまうので、効率的な資産運用を行うことが難しくなってしまいます。
投資信託を選ぶ際には、投資信託の「運用総額」を表している「純資産残高」について確認しておくことが重要です。
(4)残りの運用期間を確認する
投資信託を購入する際は、運用が開始されてからの期間も大事ですが、それと同じぐらい「残りの運用期間」を確認することも重要です。
なぜなら、残りの運用期間が短い場合、残りの運用期間が長い投資信託に比べて、運用自体が疎かになる危険性があるためです。
また、投資信託の大きなメリットとして複利効果があるため、そのメリットが小さくなってしまいます。
そのため、投資信託を選ぶ際には、できれば残りの運用期間が無期限、もしくは残りの運用期間が長い投資信託を選ぶ方が無難です。
(5)複利効果を意識して選ぶ
そもそも投資信託というのは「複利効果」を活用して、資産を効率よく増やすことを前提とした金融商品です。
「複利効果」とは、運用で得られた収益を元本に追加(再投資)することで、利息が利息を生んで利益が膨らんでいく効果のことを指します。
しかし、毎月分配型の投資信託では、運用を通して得られた利益を「再投資」ではなく「分配金」として投資家に還元してしまうので、投資信託の前提である「複利効果」が機能しなくなってしまいます。
このように、毎月分配型の投資信託に投資をしてしまうと、投資信託が本来持っているメリットを打ち消してしまうので、投資信託を選ぶ際は、毎月分配型の投資信託は避けた方が良いでしょう。
(6)まずは「インデックスファンド」から始めよう
投資初心者の方が投資信託を始める場合は、まずは「インデックスファンド」をおすすめします。
なぜなら、「インデックスファンド」の方が、ファンドマネージャーの腕にかかっている「アクティブファンド」よりも「信託報酬」が低く、ベンチマークに沿った運用ができるので、初心者でも投資判断を行いやすいためです。
インデックスファンド |
インデックスファンドは、市場平均(ベンチマーク)と同じような動きをする運用を目指す投資信託を指します。 例えば、国内では「日経平均株価」や「TOPIX」、米国では「SP500」などの株価指数のことを指します。 |
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アクティブファンド |
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自に株式・債券・その他有価証券等の銘柄及び投資割合を決定する投資信託を指します。 一般的にアクティブファンドは市場以上の運用成績を目指すため、インデックスファンドよりもリスクをとって運用しています。 |
もちろん、ご自身のリスク許容度に合わせてアクティブファンドを加えるという選択肢もありますが、投資初心者の方は、まずは「インデックスファンド」から始めてみることをおすすめします。
7. 投資信託で銘柄を選ぶときの2つの注意点
ここでは、投資信託に関する注意点を紹介します。
この分配金の利回りが高ければ高いほど、受けとれる分配金の金額は大きくなるのですが、その分リスクも高くなってしまうので注意が必要です。
大きな注意点は、以下の2つです。
- 投資信託の価格(基準価額)が下がる可能性がある
- 利回りの高い投資信託で逆に損をする可能性がある
一つずつ解説していきます。
(1)投資信託の価格(基準価額)が下がる可能性がある
分配金によって、投資信託の価格(基準価額)が下がってしまう可能性があります。
なぜなら、分配金の中には運用益ではなく運用資金から分配金を支払っているケースもあり、結果として元本の一部が減ってしまうためです。
分配金には次の2つがあり、「特別分配金」で分配する場合、元本を削ってしまいます。
普通分配金 | 投資対象から得られた運用収益を投資家に還元するもの。 |
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特別分配金 | 運用収益が当初予定していた金額を下回り、仕方なく投資家の元本から一部を削って支払われるもの。 |
投資信託の基準価額は、投資信託の投資対象である資産の時価総額や資産から得られた運用収益などの合計から運用コストを差し引いた「純資産総額」を総口数で割って算出します。
純資産総額÷総口数=基準価額
また、この「純資産総額」には、分配金を支払うための「分配対象額」も含まれているため、分配金を支払った後には、基準価額は基本的に下がります。
そのため、分配金の利回りが高いということは、分配金を支払うための「分配対象額」が大きくなることを意味するので、結果的には投資信託の基準価額が下がってしまいます。
分配金の利回りが高いと逆に運用収益が不足して、投資家にとっては不都合な「特別分配金」で支払われる確率が上がってしまい、元本が次々と減っていく可能性が高くなってしまいます。
(2)利回りの高い投資信託で逆に損をする可能性がある
分配金の利回りの高い投資信託は結果的に損をしてしまう可能性があります。
分配金の利回りが高いということは、つまり、投資信託の運用会社はそれだけ運用収益を得られるようにリスクを積極的にとった運用をしなければいけないためです。
その結果、さまざまな投資対象を何度も入れ替えたり、値上がりが期待できる投資対象を徹底的にリサーチしないといけないため、運用にかかるコストが必然的に高くなります。
基本的に、こういった運用コストは「信託報酬」という手数料に上乗せされるので、分配金の利回りが高い投資信託は「信託報酬(手数料)」が高い傾向にあります。
この「信託報酬(手数料)」は、投資信託に預けた財産(信託財産)から支払われることになるので、結果的に「信託報酬(手数料)」が高いと、自分の資産が減ってしまいます。
8. まとめ
この記事では、投資信託の利回りについてや失敗しない投資信託の選び方について紹介しました。
投資信託の利回りは、一定期間運用したときに、投資金額に対してどれだけの利益が得られたのかを示しています。
利回りが高い方が、より多くの収益を得られる可能性はありますが「リスクを積極的にとっている」と言い換えることもできるので、経済情勢や社会情勢の影響次第では、大きく値下がりして損をしてしまう可能性もあります。
目先の利回りを優先して安易に投資信託を選ぶのではなく、投資信託選びのポイントや、自分のリスク許容度などをしっかり把握して、投資信託を選んでいきましょう。