「eMAXIS」と「eMAXIS Slim」の違い、売却して乗り換えるときの判断基準を解説

「古いeMAXISを持っているけど、より低コストなeMAXIS Slimに乗り換えたい!」

インデックス投資をしていると、同じ投資対象でよりコストの低いファンドが出てくるときがあります。そんなときは、古いファンドから新しい低コストファンドへの乗り換えで悩む人もいるでしょう。筆者も過去のeMAXISファンドを長く保有していたので、乗り換えで悩む気持ちはよくわかります。

結論を言うと、信託報酬が低いファンドのほうが投資効率はいいので長期投資に有利です。

よって、これから投資するのなら、eMAXISよりもeMAXIS Slimシリーズへの投資をおすすめします。

ただし、古いeMAXISで積み上げた資産の売却には慎重にならなければなりません。

この記事では、インデックス投資家である筆者が信託報酬の低いファンドへ乗り換える際の考え方を解説します。eMAXISとeMAXIS Slimの違いを知りたい人やうまく乗り換えたい人は、投資判断の参考にしてください。

▼大人気ファンドだったセゾン投信も乗り換えるべき?▼

新世代の「eMAXIS Slim」シリーズと旧世代の「eMAXIS」シリーズ

三菱国際投信が運用する「eMAXIS」ブランドには、以下2つのシリーズがあります。

  • 【旧世代】eMAXISシリーズ:2009年10月に誕生した、ノーロードのインデックスファンドシリーズ。幅広い品揃えが特徴の、eMAXISのベーシックブランド
  • 【新世代】eMAXIS Slimシリーズ:2017年2月に新しく誕生した低コストブランド業界最低水準の運用コストを目指して運用されているため、eMAXISよりも信託報酬が低い

出典:「eMAXIS」三菱国際投信ホームページ

eMAXISシリーズもeMAXIS Slimシリーズも、投資対象の資産や地域はほとんど共通しています。

では両者の違いは何かというと、信託報酬取り扱い販売会社の数です。

詳しく見ていきましょう。

違いは信託報酬と取り扱い販売会社の数

旧世代のeMAXIS Slimシリーズと新世代のeMAXIS Slimシリーズのファンドを比べると、投資対象は同じでも信託報酬と取り扱い販売会社の数が違うことがわかります。

「同じ投資対象に投資するバランスファンド」を例に、それぞれのシリーズの違いを見てみましょう。

eMAXISシリーズ「eMAXISバランス(8資産均等型)」

  • 設定日:2011年10月31日
  • ファンドの投資対象:日本を含む世界各国の株式・公社債およびREIT
  • 純資産残高:365.14億円
  • 信託報酬:年率0.55%
  • 取扱い販売会社:42社

eMAXIS Slimシリーズ「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」

  • 設定日:2017年5月9日
  • ファンドの投資対象:日本を含む世界各国の株式・公社債およびREIT
  • 純資産残高:1037.5億円
  • 信託報酬:年率0.154%
  • 取扱い販売会社:21社

※2021年7月21日時点の情報です

上記のとおり、eMAXIS Slimの信託報酬はeMAXISよりも約4%低くなっています。

このほかにあるeMAXIS slimのファンドは、すべて旧世代のeMAXISシリーズより低コストです。シリーズを通じて業界最低水準を追求しています。

一方でeMAXIS Slimの販売会社は、eMAXISの半分しかありません。対面の販売会社では、ここまで低コストのファンドを取り扱うのは難しいという懐事情があるのではないでしょうか。

販売会社が限られているにもかかわらず、eMAXIS Slimの純資産残高はeMAXISの3倍近くあります。販売会社が少なく運用年数も短いというハンデがありながらも、eMAXIS Slimの人気は圧倒的です。

信託報酬の差は投資効率に大きな影響を与える

イーマクシススリム

eMAXIS Slimシリーズが人気の理由は、eMAXISシリーズよりもさらに抑えられた「信託報酬の低さ」にあります。

投資信託の信託報酬は、低ければ低いほど投資効率が良くなるからです。

たとえば、ファンドの運用資産額がそれぞれ1000万円だとしましょう。

この場合、年間でかかる信託報酬は以下のとおりです。

  • eMAXISシリーズ:5万5000円
  • eMAXIS Slimシリーズ:1万5400円

つまり1000万円運用すると、年間の信託報酬の差額は約4万円になります。

※上記の信託報酬は概算値です。実際は日々のファンド価格は変動するため、信託報酬もそれにあわせて変動します

もし1000万円の運用を10年続ければ、信託報酬の差額は約40万円にもなります。

同じ投資対象(インデックス)で同じ利回りのファンドに投資するのであれば、信託報酬が低いほどリターンが有利になるのは当然でしょう。

運用額が増え、投資期間が長くなるほど信託報酬の差額は将来のリターンに大きな影響を与えます。低コストにこだわる投資家ほど、slimシリーズを選んでいるのではないでしょうか。

信託報酬がより低いファンドが販売されたときの乗り換え方法

同じ投資対象のファンドに投資する場合、信託報酬の差額は投資効率を大きく左右します。

eMAXISとeMAXIS Slimで同じ投資対象のファンドへ投資するのなら、より信託報酬が低いeMAXIS slimを選んだほうが将来のリターンは有利です。

ただ、ファンドの乗り換えで気になるのは、以下のポイントです。

「これからの積み立て先はeMAXIS slimシリーズに変更したけど、今まで築いてきた資産はどうすれば?すべて売却して新しいファンドに入れ替えたほうがいい?」

旧世代のeMAXISシリーズで築いた資産部分の売却には、慎重にならなければなりません。

ここでは、古い資産の売却を含めた「乗り換え」のタイミングを判断する方法について、詳しく解説していきましょう。

古いファンドの資産を売却して乗り換える際の判断基準

信託報酬が高めの古いファンドの資産を売却して、信託報酬の低い新しいファンドに乗り換える際は、以下の3つを確認してください。

  1. 古いファンドと新しいファンド(乗り換え対象)の信託報酬の差額
  2. 古いファンドを売却するときの税金
  3. 乗り換え後の運用期間

ここでは、旧世代のeMAXISシリーズのファンドで積み上げた資産が1000万円(投資元本800万円、利益200万円)ある人を例に説明します。

  1. 古いファンドと新しいファンド(乗り換え対象)の信託報酬の差額

→信託報酬が約4%下がるため、1000万円運用時の信託報酬の差額は約4万円

  1. 古いファンドを売却するときの税金

→課税口座で投資していて、利益は200万円。20%の課税が発生するため、約40万円の税金が売却時に差し引かれる

3.乗り換え後の運用期間

→5年運用すれば、信託報酬の差額は約4万円×5年=20万円

 10年運用すれば、信託報酬の差額は約4万円×10年=40万円

 20年運用すれば、信託報酬の差額は約4万円×20年=80万円

※上記は1000万円のストック資産をベースに計算しています。新規で積み立てる資産は考慮していません

上記の場合、2.売却時の税金は約40万円かかってしまいます。

しかし、1の「信託報酬の差額4万円」が20年続けば、80万円ものコスト差が発生します。

この場合は、税金が発生しても売却して乗り換えたほうがお得と判断できるでしょう。

つまり古い資産の売却をする際は、

乗り換えてからの運用コストが乗り換え前と比べてどれほどお得になるか

その運用コストの差額は売却時の税金以上かどうか

を見ることが大切です。

過去の資産額が大きいほど、利益も売却時の税金も大きくなります。

乗り換えてからも20年・30年と長期運用するつもりであれば、今すぐ売却しても税金より将来のコスト差のほうが大きくなるでしょう。しかし乗り換えてからの運用期間が短い・あるいは資産額が少ないのであれば、今はまだ古い資産を保有しておいてもいいかもしれません。

古い資産の売却で悩んでいる人は、一度冷静になって乗り換えた際のコスト差を考えてみてください。

乗り換え後に投資したい!eMAXIS Slimシリーズのおすすめ

eMAXISからeMAXIS Slimへの乗り換えを機に、ファンドも見直したいという人もいるでしょう。

ここでは、旧世代のeMAXISシリーズから長く投資を続けている筆者の視点で、eMAXIS Slimシリーズのおすすめファンドを2つご紹介します。

おすすめファンドは以下の2つです。

  1. eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)投資対象は国内外の株式・債券・REIT
  2. eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー):投資対象は国内外の株式のみ

1の「8資産均等型」は、株式から債券・REITまで幅広く分散投資できるバランスファンドです。債券とREITが含まれているため、株式が大きく上がった際のリスクを低減でき、安定したパフォーマンスを期待できます。

実際、筆者は旧世代のeMAXISから8資産均等型を保有していますが、コロナ・ショック時にもっとも資産が下がりにくかったのは8資産均等型でした。

どんなときでも安定リターンを優先する人には適したファンドです。

2の「オールカントリー」は、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2020」で1位となった人気ファンドです。

全世界の株式を投資対象とするため高いリターンを期待できます。純資産残高は2021年7月時点で2300億円を超えていて、証券会社のつみたてNISA積立設定ランキングの常連になるほど人気です。

オールカントリーは株式のみに特化しているため、より高いパフォーマンスを期待する人に適したファンドです。

上記のファンドはどちらもバランスファンドですので、1本持つだけで分散投資できるのが特徴です。

リバランスの手間を省いて手軽にインデックス投資を続けたい人は、8資産均等型かオールカントリーから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

eMAXISシリーズとeMAXIS Slimのおもな違いは信託報酬と取扱い販売会社の数です。

同じ投資対象のファンドなら、より信託報酬が低いeMAXIS Slimへの投資をおすすめします。

古いeMAXISファンドで積み上げた資産がある人は、以下のポイントに気をつけて売却・乗り換えてください。

  • 古いファンドと新しいファンド(乗り換え対象)の信託報酬の差額を計算する
  • 古いファンドを売却するときの税金を確認する
  • 乗り換え後の運用期間を確認する

2の「税金」よりも、1「信託報酬の差額」×3の「運用期間」で算出した将来のコスト差が大きい場合には、乗り換えを検討しましょう。

乗り換えで大切なのは、目先のコストよりも「売却時の税金」と「将来の運用コストの差額」の比較です。現在の資産額やこれからの運用年数などをよく考えたうえで、乗り換えを検討してくださいね。

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服部 椿

服部 椿ライター

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金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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