新型コロナウィルスの感染拡大に伴って、銀行や証券会社では窓口の人員縮小や対応時間の制限が行われたところも少なくありません。
これを機に対面証券ではなく、ネット証券の利用を検討している方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、ネット証券ではオンライン上で必要な手続きを完結できるほか、対面証券に比べて手数料が安いなどのメリットが多い一方で、すべてをネットで済ませることに不安を覚えている方も多いかもしれません。
そこで今回の記事では、ネット証券と対面証券のメリットとデメリットを比較しつつ、どんな人がネット証券に向いているのか解説していきます。
ネット証券とは
ネット証券とは、インターネットを利用して証券取引を行う証券会社のことです。 使い勝手がよく、店舗に足を運ぶ煩わしさがないネット証券の利用者は、世代を問わず増加傾向にあります。
また、ネット上のみで業務展開をしている証券会社だけでなく、大手や中堅の証券会社(対面販売型)が提供するオンライン取引もネット証券と呼ぶことがありますので、混同しないように注意しましょう。
ネット証券のメリット
ネット証券を利用するメリットは大きく分けて以下の3つです。
- 手数料が安い傾向
- 時間や場所を問わず気軽に利用できる
- 自分のペースで商品を選べる
それぞれ詳しくみていきましょう。
手数料が安い傾向
ネット証券では、店舗や窓口・営業に割く人員が必要ないため、人件費がかからず取引手数料が安い傾向にあります。
また、一定額以下であれば手数料を無料に設定しているネット証券もあり、毎日何度も取引するデイトレーダーにはメリットが多いでしょう。
時間や場所を問わず手軽に利用できる
ネット証券はオンライン上で24時間取引ができるのが最大の特徴です。
窓口に行く必要がなく、パソコンやスマートフォンさえあれば外出先でも手軽に取引ができます。
自分のペースで商品を選べる
対面販売型の証券会社では窓口で商品を購入しなければならないことから、自分が考えてもいない商品を勧められてしまうケースも少なくありません。
しかしネット証券ではそうした恐れがないため、自分のペースで商品を選べます。
ネット証券のデメリット
次に、ネット証券のデメリットについて解説します。
- 対面で顔見て話したい人には向かない
- パソコンに不慣れだと操作が難しい
対面で顔見て話したい人には向かない
ネット証券では実際の店舗がないため、お互いに顔を合わせての会話ができません。
そのため、対面で顔を見て話したいという人には向いていないでしょう。
しかし、昨今ではネット証券でも電話による問い合わせに対応してくれるところも増えています。
ネットの利便性を享受しつつ、わからないところを聞きたいといった場合にはカスタマーサービスの利用を検討してみるのもよいかもしれません。
パソコンに不慣れだと操作が難しい
ネット証券はパソコンなどの端末操作に不慣れな人にとってハードルが高いのも、デメリットのひとつです。
ネットに関する知識が不十分だと、あらゆるトラブルの原因となることから利用を始める前に一定の知識を有しておく必要があるでしょう。
対面型販売のメリット
ネット証券が台頭する中、対面証券も根強い人気があることは事実。
ここでは、対面証券を利用するメリットについて見ていきます。
- さまざまな金融商品について対面相談ができる
- 最適な商品を提案してもらえる
順に説明しましょう。
さまざまな金融商品について対面相談ができる
顔を見合わせて話ができることが、対面証券における一番のメリットです。
資産運用初心者はもちろん、しっかりと話をしたうえで商品を購入したい人にとって対面型販売は魅力的でしょう。
また、各種手続きや情報収集についてもその場でアドバイスがもらえるため、安心して取引を進められます。
最適な商品を提案してもらえる
対面証券では、年齢・職業・収入・ライフスタイル・家族の有無など、さまざまな情報を元に、資産運用のプロがあなたに最適な金融商品を提案してくれます。
そうした客観的な提案は対面証券ならでは。自身では気づけなかった発見があるかもしれません。
対面型販売のデメリット
続いて、対面証券のデメリットとして以下の3点を取り上げてみました。
- 手数料が高い傾向にある
- 営業担当者が変更となる恐れがある
- 意向に沿った提案がされないケースがある
手数料が高い傾向にある
対面証券では店舗がないネット証券に比べて人件費などがかさむことから、手数料が高めに設定されている傾向があります。
長期運用や大口の取引を検討している場合、思っているよりも多額の手数料を取られる可能性があるので注意しましょう。
営業担当者が変更となる恐れがある
対面型販売では退職や人事異動等により、自身の営業担当者が変わってしまうことがよくあります。
そのため、営業担当者が変わる都度また一から人間関係を構築しなければならず、人によってはそのことを負担に感じてしまうかもしれません。
意向に沿った提案がなされないケースがある
プロである営業担当からのアドバイスは参考になることが多い一方で、時には意にそぐわない提案がなされる可能性もゼロではありません。
そのため、アドバイスをそのまま鵜吞みにしてしまうのではなく、自身でもある程度勉強したうえで金融商品の選定に臨むようにしましょう。
元銀行員が語る、対面型販売を好むお客様の特徴
実際に窓口に足を運ぶ方の特徴として、次のようなケースが多く見受けられました。
- 高齢でインターネットに不慣れである(そもそもPC操作ができない)
- 実店舗がないオンライン証券に不安を抱いている
- 金銭が発生する取引であることからきちんと顔を見て話をしたい
- なにかあったときにその場で教えてほしい
一定以上の年代はインターネットに対する不信感がいまだ根強く、対面での取引に安心感を持っている人が多い印象を受けました。
また、すでにその金融機関となんらかの取引があり、長年の信頼関係から窓口に足を運ぶ方も一定数いたように感じます。
AIや機械では補うことのできない、対面での取引だからこそできるサービスにメリットを感じている人は多少の不便を理解したうえで対面取引を選択していました。
そのため、一定のニーズがある以上、今後も対面取引そのものがなくなることはないというのが、私個人の見解です。
ネット証券で取引した方がいいのはこんな人
ネット証券での取引に向いている人の特徴をいくつかピックアップしてみました。
- 手数料を少しでも安く抑えたい
- 近くに窓口がない、窓口に行く時間がない
- 自分のペースで商品を購入したい
- 自分の好きな場所、好きな時間に取引したい
- 対面でのやりとりが苦手である
- 各種端末の操作およびインターネットの扱いに慣れている
自身のペースで好きな時間に金融商品を購入したい人にとって、ネット証券のメリットは大きいといえます。
また、手数料などのコストをできるだけ抑えたい人や対面でのやり取りを避けたい人にもネット証券が向いているでしょう。
対面型販売で取引した方がいいのはこんな人
対面証券での取引に向いている人は以下の通り。
- 営業担当者と直接やり取りするのが苦にならない
- 窓口で顔をあわせて相談しながら取引したい
- 資産運用経験が浅く不安
- インターネットやパソコンの取り扱いに不安がある
- ある程度の手数料が許容できる
- 入手困難といわれる銘柄も狙いたい
対面証券では、営業担当者と直接やりとりできるのが大きな特徴です。
そのため、相談しながら商品を決めたい人には対面証券が向いているでしょう。
また、パソコンやインターネットの取り扱いに不安がある人も、トラブル回避の観点から対面証券の方が安心です。
ネット証券ならSBI証券、楽天証券がおすすめ
ネット証券で資産運用を考えているものの、どの会社がいいのか悩んでいるならSBI証券と楽天証券がおすすめです。
SBI証券は、口座数・顧客満足度ともにNo.1の座にあり、幅広い取扱商品と手数料が安いことで支持されています。
また、専門アナリストが市場の動向を分析してくれるほか、質の高いセミナーをオンライン上で受講できるなど初心者向けのサービスが豊富なところも特徴のひとつ。
そして、SBI証券では手持ちのTポイントを投資に利用できるほか、Tポイントを貯めることも可能です。
そのため、日ごろからTポイントをよく利用している人にとっては利用するメリットが大きいといえるでしょう。
対する楽天証券はSBI証券と並ぶ人気のネット証券で、手数料が安いことに加えとさまざまな取引で楽天ポイントがもらえるのが特徴です。
貯まった楽天ポイントは楽天市場での買い物など楽天サービスで利用できるだけでなく、株式や投資信託の購入にも使えるので楽天ユーザーには魅力的でしょう。
また、楽天証券では取引画面のレイアウトが見やすく、専門用語の解説がついていることからインターネットでの取引がはじめての人でも安心して利用できます。
まとめ
今回はネット証券と対面証券のメリット・デメリットについて解説したうえで、それぞれどういった人に向いているのかについてご紹介しました。
以前は対面でないと丁寧なサポートが受けられない印象が強かったかもしれませんが、昨今ではネット証券でのカスタマーサービスや初心者向けのコンテンツが充実してきたこともあり、ネット証券利用に対する敷居が下がりつつあります。
また、ネット証券では時間や場所を問わずに取引できることに加え、手数料が安いといったメリットがあるのも事実。
自身の性格や希望について今一度考えたうえで、ネット証券での取引も前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
※ライター:織瀬ゆり