低金利が続いている近年は、貯金をしてもお金が増えにくい状況が続いているため、将来や老後のために「投資」を始めようとする人が増えています。
投資というと「株」を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし「株の始め方がわからない」「会社にバレてしまったらどうしよう……」など、知りたいことや悩みがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、株の始め方について詳しく説明いたします!
株式投資の始め方はそんなに難しいものではありません。
ぜひ一緒に学んでいきましょう。
1.株式投資の基礎知識
まずは、株式投資の基礎知識を簡単に押さえておきましょう。
- 株式とは何か?
- 株式投資に必要な資金の目安
- 株の売買方法
- 株主優待と配当
この4点について説明します。
(1)株とは?
会社を新規に立ち上げるときや、事業拡大するときには資金が必要です。
株式会社では、資金を集めるために会社が株式を発行し、資金を出してくれるオーナーを募集します。
会社の未来に期待して、オーナーは会社に投資。
投資された会社は権利の証として株を発行し、オーナー(投資家)に渡します。
これが「株」です。
投資家は株を購入すると、会社のオーナーになり、持分の範囲内で株主総会に出席して議決に加わる権利(議決権)を持ちます。
さらに利益の一部を還元してくれる「配当金」や「株主優待」を受け取ることも可能です。
(2)株式投資を始める資金の目安
株は1株ずつ買えるのではなく、「単元株(100株)」が決められています。
たとえば「日本マクドナルドホールディングス(株)」は1株あたり5,000円(2020年12月30日時点)で単元株数は「100株」となるため、マクドナルドを購入するときは50万円と手数料が必要です。
会社により株価が違うため、投資に必要な資金は異なります。
投資を始める際は、まずどの会社に投資するかを決める必要がありますが、人気のある企業は株価も高いケースが多いので、資金も多く必要です。
高い資金で始めるのは抵抗がある場合、少ない資金で売買できる「単元未満株」「ミニ株」もあります。
単元未満株は1株から購入可能なため、少ない資金で始めることができます。
ミニ株は、単元未満株とは違い単元株数を1/10で購入可能。
100株なら10株ずつ、1,000株なら100株の資金で始められます。
ただ単元未満株より手数料は高くなる点に気をつけてください。
(3)株の売買方法
株を売買するときには、証券会社を通じて「注文」をする必要があります。
株の注文方法の流れを一覧で説明しましょう。
①口座を開設する | まず証券会社に口座開設が必要です。 口座開設には資金は必要ありません。 ネット上の手続きだけで口座開設できる証券会社も増えています。 |
②口座に資金を移動 | 株の購入に必要な資金を証券会社の口座に移します。 証券会社によっては振込手数料が無料になるサービスもあります。 |
③銘柄を決める | 買いたい銘柄、売りたい銘柄を決めましょう。 買いたい場合は銘柄名、もしくは銘柄コードで検索します。 |
④注文を出す | 証券口座のネット画面から、株の売買注文をします。 1. 買いたい銘柄、売りたい銘柄を選ぶ 2. いくつ購入したいか株数を入力 3. 売買価格の指定。「成行(なりゆき)」か「指値(さしね)」を選ぶ。成行は、いくらでもいいから買いたい、売りたいと値段を指定しない。一方、指値は株価を指定する 4. 注文の「有効期限」を指定。期間は当日~最大1ヶ月程度(証券会社による) 5. 「口座区分」を指定。「一般口座」「特定口座」「NISA口座」から選ぶ |
⑤注文結果を確認する | 注文を出したら結果画面で、間違いがないか確認しましょう。 注文が成立することを「約定(やくじょう)」と言います。 約定すれば売買日を含め3営業日目に決済されるため、売却してもすぐに入金はされません。 |
株式の売買には「成行注文優先の原則」「価格優先の原則」「時間優先の原則」の3つがあります。
- 「成行注文優先の原則」は、成行注文は指値注文よりも優先して約定
- 「価格優先の原則」は買い注文時に高い価格から、売り注文時は安い価格から優先して約定
- 「時間優先の原則」は同じ価格を指値注文したときは、早く注文を出した人から約定
最優先して約定するのは成行注文です。
すぐに売買したいときは成行注文を利用するようにしましょう。
(4)株主優待と配当
株式投資には、「株主優待」や「配当金」が受け取れるという魅力もあります。
株を保有していると、自社製品や商品券・ギフト券・食事券などのサービスを無料で受け取れる権利です。
たとえばオリエンタルランドでは、100株保有で東京ディズニーランド、シーのいずれかの1Dayパスポートが年間1枚もらえます。
ただしすべての会社で株主優待を行っていないため、銘柄検索で株主優待があるかチェックしましょう。
会社の利益の一部を投資家に分配するもので、継続的に現金収入が受け取れます。
配当金の額や年に何回受け取れるかは、会社によって異なります。
また会社の業績が良ければ配当金の額が上がったり(増配)、悪ければ下がったり(減配)、無くなる(無配)可能性もあります。
株主優待や配当金を受け取るには、あらかじめ定められた「権利付最終日」までに株式を購入し、翌営業日の「権利落ち日」まで株を保有する必要があります。
誤って権利落ち日より前に売却してしまうと、株主優待や配当金がもらえなくなるので注意が必要です。
2.初心者におすすめの株の始め方
株式投資にはいろいろな手法がありますが、初心者におすすめの手法は何でしょうか?
分かりやすく解説していきます。
(1)初心者はどの株式投資の手法が向いている?
株式投資は、東京証券取引所などの株式市場が開いている平日9時から15時の間に行えます。
なので日中働いている方だと、リアルタイムの株価を見ることが難しいのが現実。
朝に指値注文をしても日中気になり、仕事に集中できない可能性もあります。
そこで初心者の株式投資でおすすめなのが、「長期投資」です。
長期投資だと株価チェックを毎日する必要はなく、ある程度ほったらかしでできるため、手間がかからないからです。
(2)配当や株主優待などの「インカムゲイン」を受け取る!
株の利益には、値上がり益である「キャピタルゲイン」と、株式を保有しているだけで得られる「インカムゲイン」の2種類があります。
初心者の長期投資では、配当や株主優待などのインカムゲインをメインにしましょう。
株主優待銘柄は長期保有することで、長くサービスが受けられます。
たとえば吉野家ホールディングスだと、100株以上で食事券が年間20枚(1枚300円相当)ももらえる上に、株価が上がれば値上がり益も得られます。
また配当金がもらえる銘柄も狙えば、保有している期間中ずっと配当金を受け取り続けることができます。
高配当株と言われる銘柄は年間利回りが3%以上あるので、年利0.002%程度の定期預金とはかなり差があるでしょう。
一般的には値動きの少ない配当利回りの高い銘柄が、長期投資に向いていると言われます。
配当+株主優待狙いの長期投資は、年間120万円までの利益が非課税になる「NISA口座」の利用もおすすめです(通常は利益に対し、20.315%の税金がかかります)。
3.株と確定申告
株取引する際には、証券会社での口座開設が必要です。
ここでは、初めての口座開設で疑問を抱きやすい、
- 「特定口座」と「一般口座」の違い
- 確定申告が必要なとき
- 取引していることが会社にバレないか?
という3点について説明します。
(1)特定口座と一般口座の違い
証券会社の口座は「特定口座」「一般口座」に分けられ、特定口座には「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」があります。
「特定口座」では、証券会社が年間の取引をまとめて損益を計算し、年間取引報告書を発行してくれます。
さらに「源泉徴収あり」を選択すると、取引ごとに証券会社が徴収した税金を税務署に納付してくれるので、確定申告の必要はありません。
一方の「源泉徴収なし」では、証券会社から税金の納付はしないため、年間取引報告書を使用し自分で確定申告する必要があります。
「一般口座」は、証券会社がそもそも年間損益の計算自体を行わないので、計算から確定申告まですべて自分で行う手間が発生します。
(2)確定申告が必要なとき
会社員で確定申告が必要なときは、給料以外で年間20万円以上の雑所得(利子・配当・不動産・事業所得など)がある場合です。
また年間収入金額が2,000万円を超える人、医療控除する場合も確定申告は必要になります。
証券会社の口座を「特定口座(源泉徴収あり)」にしておけば、原則確定申告が不要になりますよ。
またNISA口座(少額非課税制度)も年間利益120万円までは非課税になるため、確定申告は不要です。
株式投資を始めるなら、NISA口座を利用してはいかがでしょうか。
NISA口座については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(3)会社にはバレない?
会社にバレないで株取引ができる方法は、次の2つです。
- 口座開設のときに「特定口座(源泉徴収あり)」にする
- 確定申告のときに「普通徴収」を選択する
「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すると、取引ごとに証券会社が納税しますので、株式投資による収入が会社に知られる心配はありません。
また確定申告して住民税額が変更される場合でも、住民税の徴収方法を「普通徴収」にすれば、住民税の金額が会社に通知されないので会社にはバレないでしょう。
ただし確定申告のときに住民税の「特別徴収」を選んでしまうと、給与収入の住民税と合算されて税額が変わり、会社にバレてしまう可能性があります。
不安のある方は、特定口座(源泉徴収あり)を利用しておくのが無難でしょう。
4.株式投資を始めるならネット証券で!おすすめ証券会社3選
証券会社には店舗や電話などで取引する総合証券と、店舗を持たないネット証券があります。
店舗がある証券会社は平日15時半までの営業時間が多く、会社員が利用するのは難しいでしょう。
しかしネット証券なら、いつでもネットで取引が可能です。
またネット証券を利用する大きなメリットは、手数料が安いこと。
株式投資は基本的に取引ごとに手数料が発生するため、取引するほど手数料が負担になります。
しかしネット証券なら手数料の設定が比較的安価なので、コストを下げられるでしょう。
ネット証券を選ぶ際は、
- 手数料の安さ
- 取り扱う商品の多さ
- 情報ツールの使いやすさ
などを比べて選ぶのがポイントです。
特におすすめできるネット証券会社を3つ選びましたので、証券会社選びの参考にしてください。
(1)SBI証券
SBI証券はネット証券の中でも口座開設数が最も多く、大手メディア「みんなの株式」が発表した2021年のネット証券比較ランキングで、総合1位になりました。
取引手数料は5万円なら50円(税別)、10万円なら90円(税別)とネット証券の中でもトップの安さです。
また1日に何度も取引できる定額コースは、約定代金100万円まで手数料無料になります。
取引ごとにTポイントが貯まり、1ポイント1円でTポイント投資も可能です。
商品のラインナップも豊富で、投資信託や新規公開株(IPO)、外国株取り扱いもネット証券の中ではトップクラスです。
「まずは多くの人が利用する大手ネット証券で取引したい!」という方は、SBI証券を選ぶといいでしょう。
(2)DMM株
DMM株は、国内株と米国株に特化しているネット証券です。
口座開設して最短で当日取引が可能。
取引手数料は業界の中でも最安値で5万円以下なら50円(税別)、10万円以下なら80円(税別)となります。
外国株式の取引手数料は無料(為替手数料は有料)になり、1株単位で購入も可能なため少ない資金で始められます。
また口座管理料や出金手数料は無料、クイック入金を利用すれば入金手数料は無料と維持費もかかりません。
取引情報ツールはスマホアプリ版「かんたん・ノーマルモード」とパソコン版「PRO+」があり、初心者〜上級者まで対応しています。
取引ごとにDMMポイントが貯まり、1ポイント=1円で取引に利用でき、現金に交換もできます。
(3)GMOクリック証券
GMOクリック証券は、国内株式とFXに力を入れている証券会社です。
口座開設して即日取引可能。
取引手数料は10万円以下なら88円(税別)で、1日定額プランでは約定金額20万円までなら何回取引しても213円(税別)となります。
口座管理料、入出金手数料も無料のため維持費はかかりません。
情報ツールはアプリ版とパソコン版があり、株価分析・財務諸表・経営分析・シミュレータなどの豊富な分析が魅力です。
GMOクリック証券は国内株式、外国株式、先物・オプション、FX、CFDまで充実した商品があるのが特徴。
2012年〜2020年の8年間、FX取引高で国内第1位に輝いています。
まとめ
この記事では株の仕組みや取引を始めるにポイントについて紹介しました。
初心者の株式投資は、株主優待や配当金などのインカムゲイン狙いの長期投資をおすすめします。
購入時に「権利確定日」などのスケジュールを確認し、優待や配当を確実に受け取りましょう。
初心者が株取引を始めるのは、ネット証券がおすすめです。
証券会社の口座開設は無料なので、まずは自分に合いそうな証券会社で口座開設してみてくださいね。
ライター:華乃えみ