「インデックス投資の投資信託って、いつ売ればいいの?」
FPでありインデックス投資家でもある筆者は、上記のような質問を多くいただきます。
筆者の答えは
「本当に必要なときに売ればいい。ただし事前に売却ルールを決めておくこと」です。
お金は使うためにある物なので、どこまでも貯め続けることはありません。
必要になれば売却すればいいのです。
この記事を読めば、インデックスファンドの出口戦略で重要な売却ルールの決め方がわかるようになります。「インデックス投資の売り時がわからない」方は、参考にしてください。
インデックス投資は「売らずに続ける」が基本
金融市場の成長に期待するインデックス投資では、売らずに続けることが基本とされています。
購入するファンドを決め、積み立て設定をしたら後はほったらかし。
運用成績が好調で含み益があっても、簡単に売却はしないのがインデックス投資です。
そうやって長期で保有し続けているからこそ、金融市場の長期的な成長がそのままリターンとなって資産が膨らんでいきます。
つまりインデックス投資でリターンを最大化するために重要なのは、とにかく続けること。
売却を考えた方は、まずこの基本を思い出すようにしてください。
とはいえ、インデックス投資で積み立てているお金は使うためにあるもの。
本当に必要なときは売却してかまいません。
売却するタイミングは、事前にルール化しておくことをおすすめします。
ルールを決めておかないと「なんとなく売却」の癖が付き、本来の「売らずに続ける」長期運用ができなくなるからです。
繰り返しますが、インデックス投資は続けることでリターンを最大化する投資方法。
売却はあくまで例外的な行為としてとらえ、基本は続けるようにしてくださいね。
【経験談あり】売却ルールを決めるおすすめポイントは3つ
インデックス投資で育てた資産を売却する際は、事前に決めた「売却ルール」に従い売却しましょう。
あらかじめルールを決めておけば、売却すべきか否か?で判断に迷うことがありません。
ここでは、自分なりの売却ルールを決める際のおすすめポイントを3つ解説していきます。
長年インデックス投資を続けている筆者の経験談もふまえて解説していきますので、参考にしてあなただけのルールを決めてください。
1.ざっくりとした売り時を決めておく
まずは、大まかな売り時を決めておきましょう。
資産形成の目標は人それぞれですが、具体的な売り時の目安は以下のとおりです。
【目標とする資産が貯まったり、必要になったりしたとき】
- 「資産が1,000万円になったら」など、目標金額に達したとき
- 子どもの大学進学や住宅購入といったライフイベントが発生したとき
【ファンドのメンテナンス】
- 運用するファンドを乗り換えるとき
- ポートフォリオを保つためのリバランスをするとき
筆者の場合は、過去に住宅購入とファンドの乗り換えによって売却を経験しました。
筆者は旧来の「eMAXIS シリーズ」を長く運用していましたが、数年前に販売された「eMAXIS Slimシリーズ」がより低コストであったため、時間をかけて乗り換えました。
続けることが基本のインデックス投資とはいえ、ファンドのコストは投資のリターンに大きく影響します。そのため、時間をかけて低コストファンドの比率を高めていきました。
インデックス投資の売却ルールでは、こうしたファンドの売買方針も決めておきましょう。
もちろん、短期間で運用するファンドをあれこれと乗り換えるのはおすすめしません。
ただ、インデックスファンドはここ数年で低コスト競争が激化しているため、古いインデックスファンドを持っていて乗り換えを悩んでいる人は多いです。
筆者の場合は、信託報酬が年0.3%下がる場合に乗り換えを検討してきました。
運用開始後にはどのようなルールで乗り換えるのか、信託報酬という明確なルールを決めておけば迷うことも少なくなるのではないでしょうか。
2.売却するタイミングは分散させる
1で大まかな売り時を決めても、具体的な売却タイミングで悩む方は多いです。
投資信託の資産価値は毎日変動するため、少しでも利益が多く出ているタイミングで売りたいと思いますよね。
結論としては、売却タイミングは投資するときと同じくらい分散させましょう。
もっとも利益が出る売却タイミングがいつか?を考えても正しい答えは絶対にわからないからです。
プロですら、相場を100%予測できないのが投資の世界。
相場の動きを読まずに長期運用してきたインデックス投資家が、ちょうど良い売却タイミングを予測できると思ってはいけません。
悩んでいても答えは出ないため、売却する際も少しずつ・機械的に売っていくのがおすすめです。
筆者の場合、住宅購入時に運用資産の一部を売却しました。
新築マンションの購入であり、実際に資金を支払うまで半年以上時間があったため、毎月1回×計7回に分けて取り崩していきました。
このように売却のタイミングを細かく予測しようとせず、機械的に決めた一定のタイミングで分散売却していけば、いつ売るか?で迷うことはありません。
要は、インデックスファンドを買うときと同じです。
実際の売却も買うときと同じように、少しずつ、できる限り分散させて行いましょう。
3.老後は4%ルールで売っていく
長くインデックス投資を続けている人も、老後は徐々に資産を現金化していく必要があります。
老後の出口戦略では、インデックス投資が盛んなアメリカでポピュラーな「4%ルール」を使いましょう。
資産残高の4%を毎年取り崩していけば、理論上は30年後も資産が底をつかないという考え方です。
定年退職時の資産残高が3,000万円だとすれば、年間の取り崩し額を120万円に抑え、残りの資産は引き続き運用していくイメージですね。
4%ルールは米国のトリニティ大学が発表した論文が根拠で、早期リタイアを目指すFIREでもベースの考え方になっています。とはいえ、この数値はあくまで理論上で導き出されたもの。30年後も絶対に資産が残るとは言い切れません。
老後の運用資産がどうなるかは、今後の世界経済の情勢によっても変わります。
資産運用に絶対はないため、4%ルールはあくまで目安として、できれば定年後も簡単な仕事をして収入を得られるようにするのがおすすめです。
まとめ
インデックス投資でもっとも重要な運用のコツは、売らずに続けていくことです。
とはいえ、お金は本来使うためのもの。
どうしても必要なときのために、事前に売却ルールを決めておけば売り時に迷うことはありません。
売却ルールを決める際のポイントは、以下の3つです。
- 具体的に資産を使うタイミングや、ファンドのメンテナンス方針にあわせた売り時を決めておく
- 売るときも買うときと同様に少しずつ分散させる
- 老後資金の取り崩しは毎年4%ずつにする
事前に決めたルール以外で売却するのは徹底して避け、コツコツ運用を続けていってくださいね。