- スイングトレード
- デイトレード
- スキャルピング
投資やトレードをはじめるとよく目にする用語ですが、違いを説明できるでしょうか。
共通点は全て長期ではなく、短期~中期で手仕舞う(てじまう)トレーディング手法であること。
この3つの中でも一般的に、利幅がとりやすく時間的にも余裕をもって取り組めるのが、スイングトレードです。
特に投資をはじめたばかりで短・中期トレードをはじめるなら、もっとも取り組みやすいのではないでしょうか。
なぜスイングトレードがデイトレードやスキャルピングよりも利幅がとりやすく、取り組みやすいのかを解説します。
1.スイングトレードとデイトレ・スキャルピングの違いは取引期間
スイングトレードとデイトレード、スキャルピングの違いは取引期間で決まります。
投資対象の取引期間が違うだけですが、この違いでメリット・デメリットや取り組みやすさが変わります。
この3つの違いを理解すれば、スイングトレードが投資をはじめたばかりの人にも取り組みやすい理由がわかります。
(1)数日~数週間保有するスイングトレード
スイングトレードは、投資対象を数日~数週間保有するトレーディング手法です。
英語でスイングは「振り回す」という意味。数日単位で資金を振り回すようにトレードするのが特徴です。
短・中期トレードの中では取引期間が長く、1日で完結する取引よりも大きな値幅を狙えます。
売買できる時間帯が決まっている株の場合、「オーバーナイト」があります。
夜を越え翌日までポジションを持ち越すという意味
株価は前営業日の終値と、翌営業日の始値は基本的に連続していません。
たとえば、1,000円の終値で取引が終わったA株の翌日の始値が1,000円とは限りません。
1,050円だったり975円だったりと、連続しているとは限らないのです。
取引が行われていない時間にA株にとって良いニュースや悪いニュースがでたり、アメリカ市場が大きく動いたりすれば、投資家の思惑が前日と翌日で変化します。
その結果、翌日の始値と前日の終値で価格のギャップ(窓)が生まれるのです。
スイングトレードとデイトレード・スキャルピングの最大の違いは、このオーバーナイトにあります。
オーバーナイトの価格ギャップが数日続けば、1日で完結するデイトレードよりも大きな値幅が生まれやすくなります。
つまり、スイングトレードはオーバーナイトを挟むことで、短・中期トレードの中でも大きな値幅を狙えるのです。
(2)1日で手仕舞うデイトレード
デイトレードは、1日で手仕舞うトレーディング手法です。
スイングトレードと違い、オーバーナイトせずに1日で取引を完結させます。
オーバーナイトが発生しないため、1日の中で動く小さな値幅を狙うトレードになります。
この小さな値幅を日々とり続けるのがデイトレードの特徴です。
(3)1日で頻繁に取引するスキャルピング
スキャルピングは、デイトレードの中でも特に小さな値動きで何度も取引を繰り返すトレーディング手法です。
スキャルプは少し怖い意味ですが、「皮を剥ぐ」という意味。
つまり、皮を剥ぐような小さな値動きで売り買いを繰り返すのです。
値動きの激しい投資対象を選び、10秒から10分程度で次々に取引を完結させていきます。
例えるなら、1回の売買で10万円を稼ぐのではなく、10回の売買で1万円を10回稼ぐような取引になります。
2.スイングトレードのメリット・デメリット
スイングトレードのメリット・デメリットを、デイトレードやスキャルピングと比較しながら解説します。
同じ短・中期トレードではあるものの、違いがあるため特徴をしっかり理解しておきましょう。
(1)スイングトレードのメリット
スイングトレードのメリットは、以下の通りです。
- オーバーナイトでデイトレードやスキャルピングに比べ、1回で大きな利益を狙える
- 取引回数がトレードの中では少ないので、取引手数料を節約できる
- デイトレードやスキャルピングに比べ、取引画面に張りついている必要がない
- HFT(高速取引)のシステムと同じ土俵で争わなくても済む
- 日本株の日計り商い(デイトレード)の規制にひっかからない
スイングトレードはオーバーナイトを挟むため、デイトレードに比べて大きな値幅を狙えます。
しかも、取引回数がデイトレードやスキャルピングに比べて少なくて済むため、手数料負けしづらくなります。
そして数日にわたってポジションを保有するので、デイトレードやスキャルピングに比べて余裕をもった取引が可能です。
市場には、HFTと呼ばれる高速取引をする業者やシステムなど、機械的に売買を繰り返しているものも参加しています。
短期間の間に発生する価格の歪みをすぐに発見し、人間にはできないスピードで発注するシステムもあるのです。
短い期間で有利な発注を思い通りに成立させるのは簡単ではありません。
しかしスイングトレードなら比較的、大雑把に取引をしても十分に値幅が取れますし、多少、思い通りの価格で発注が成立しなくても十分に勝ちトレードにもっていけます。
また日本株の現物取引の場合、同一資金で同一受渡日となる同一銘柄の売買が法律で禁止されています。
そのため日本株で自由にデイトレードはできません。しかしスイングトレードならその規制もないため、日本株の現物でも取引しやすいのです。
(2)スイングトレードのデメリット
スイングトレードのデメリットもご紹介します。
スイングトレードのオーバーナイト中には価格が大きく動くため、その間に悪材料が出てきてもすぐに手仕舞いできません。
ただし、スイングトレードではオーバーナイト中に良い材料がでて、有利な方向に価格が動くこともあるため一長一短です。
スイングトレードをする際は、取引期間の間に大きなニュースや材料が出るかどうかに注意しておいた方が良いでしょう。
たとえば株のスイングトレードだと決算発表を挟む場合、決算次第で大きく値が動くことがあります。
企業の決算は取引終了後の15時以降にでることが多いからです。
そのため、オーバーナイトをするべきかどうかを考えて取引することが、スイングトレードでは求められるのです。
3.スイングトレードの対象の探し方
スイングトレードをする際には、スイングトレードに適した投資対象を決める必要があります。
基本的には値動きの癖がわかる取引しやすい対象を選べば良いのですが、どう選べば良いかわからない方は参考にしてみてください。
(1)いつでも売り買いできる流動性の高い市場を選ぼう
スイングトレードでは、流動性の高い市場を選びましょう。
流動性が高いというのは、取引が活発で注文が成立しやすい状態のことです。
つまり買いたいときに買えて売りたいときに売れるような、取引に厚みのある対象がおすすめです。
極端な例を出します。
たとえば、取引がまったく活発ではない新興国のマイナーな銘柄をスイングトレードの対象にしたとします。
このような銘柄では取引する人が少ないため、思うように売買できないことがあります。
もちろん、流動性が低いことを逆手に有利なトレードをすることができる人もいるでしょう。
しかし、それは何年も経験を積んだ人や資金が十分にある人でなければ難しいため、原則、流動性の高い投資対象を選びましょう。
(2)取引手数料は安い方が良い
取引手数料は、基本的に安い取引対象を選びましょう。
たとえばマイナーな外国株を日本から取引する場合、日本株などに比べて取引手数料が高い傾向があります。
スイングトレードは短・中期トレードの中では取引回数が少ないトレーディング手法ですが、それでも長期投資に比べると取引手数料がかかります。
取引手数料は勝ちトレードでも負けトレードでも確実にかかるため、なるべく抑えられる投資対象を選びましょう。
4.スイングトレードで頼りになるのはテクニカル分析
スイングトレードで頼りになるのは、基本的にはテクニカル分析です。
テクニカル分析とは、過去の値動きをもとにトレンドやパターンを予測する分析方法。
たとえば、「Aという動きをしたら、Bという動きをしやすい」という経験則をもとに取引します。
スイングトレードは通常、数日程度で取引が完結するため、ファンダメンタルズ分析のような財務諸表や景気動向を十分に調べても、ファンダメンタルズが反映されるまでに取引が完結されてしまいます。
そのため、テクニカル分析を頼りにするのが一般的です。
テクニカル分析も万能ではもちろんありません。
しかし、多くの投資家がよく使われるテクニカル分析の指標に注目しているため、利用しない手はありません。
5.スイングトレードは少額からはじめよう
スイングトレードは、少額からはじめましょう。
慎重な人は、デモトレードで練習してからはじめてみても良いのではないでしょうか。
短・中期で完結するトレードの中では、スイングトレードは取り組みやすいトレーディング手法ですが、リスクはあります。
また少額で取引する場合、資金効率を高めるためにFXや先物・信用取引などのレバレッジをかけられる投資対象に選ぶ人もいるかもしれません。
レバレッジとは「テコの原理」のことで、資金(証拠金)の何倍もの取引ができます。
ただ、元本以上に損をする可能性もあるので、最初は慎重にはじめるべきです。
損をしても許容できる範囲内で、スイングトレードをはじめるようにしましょう。
まとめ
スイングトレードは、投資対象を数日~数週間程度保有する、中・長期的なトレーディング手法です。
オーバーナイトを挟むことで、短・中期のトレードよりも大きな値幅を狙いやすく、取引回数がデイトレードやスキャルピングより少ないため、取引手数料の節約も可能です。
また取引の時間軸も長いので、トレード画面に張り付いている必要がなく、日頃から多忙な方でも取り組みやすいでしょう。
まずは証券口座を開設し、1銘柄のトレードからはじめてみてはいかがでしょうか。
証券口座を調べるなら、こちらの記事もチェックしてみてください。
※ライター:田守正彦