FXで取引をしていると、「CFD(差金決済取引)」という言葉を耳にする機会があるかもしれません。
そこで今回は、「CFDってなに?」
「CFD取引によってどのくらい税金がかかるの?」
といった疑問にお答えします。
あわせて、CFD取引をした場合の確定申告について、申告方法や注意点も解説します。
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1.CFD(差金決済取引)とは?
CFDとは“Contract For Difference”の略であり、日本語では「差金決済取引」と呼ばれています。
現物の株式を取引する場合は、現金で株式を購入し、保有したり、売却して代金を受取ることになります。
一方のCFDは、現物の売買は発生しない差額だけの取引です。
そのため取引の際は証拠金を預け、銘柄の売買や差金のみの決済を行います。
CFDは「日経225」や米国の「ダウ30」「NAS100」などの株式指標のほか、金や原油などの商品、為替などの資産に投資することが可能です。
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2.CFD取引は「申告分離課税」税額は20.315%
CFD取引は手数料は無料ですが、取引によって得た利益は課税対象になります。
ここでは、CFD取引により課税される税金の種類、具体的な税額について解説します。
(1)CFD取引にかかる税金の種類・税率
CFD取引やFX取引は2011年まで、他の所得と合算して税率を計算する「総合課税」扱いでした。
しかし税制が変わり、2012年1月1日以降は利益に対し20%、2013年以降は20.315%がかかる「申告分離課税」扱いへ変更されています。
参考:No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係(国税庁)
よってCFD取引で得た利益に対しては、会社の給料や株式投資の配当所得などと合算されず、どれだけ利益を出したとしても20.315%(うち所得税15%、住民税5%、復興特別所得税 0.315%)の税率で収まるようになりました。
総合課税だった当時は、他の所得と合算して最低5%〜最高40%の税率が適用されていましたので、その頃と比べると税率的にも利益を出しやすい環境になったのではないでしょうか。
(2)CFD取引でかかる税額を計算してみた
※出典:DMM.com証券 公式サイト
CFD取引はFXなどと同じく「雑所得」です。
例えばCFD取引での年間利益が100万円で、必要経費が2万円かかった場合、その税金額は次のように計算されます。
(1,000,000円 – 20,000円) × 20.315% = 199,087円(税額)
またCFD取引で利益を得たもののFX取引で損失が出た場合、両者の損益を通算することができます。これを「損益通算」といいます。
この際、株式取引は損益通算の対象外になりますのでご注意ください(株式取引同士での損益通算は可能です)。
3.CFD取引では確定申告が必要?ケース別に解説
確定申告は、その年の1月1日~12月31日までの1年間の所得に対し、所得税などの税額を計算し、源泉徴収で納めた税金や予定納税との誤差がないかを確認・申告する手続きです。
会社に雇用されている場合は会社側で年末調整手続きをするため、確定申告は多くの場合、自営業やフリーランス、会社経営者などが申告の対象となります。
しかし会社員でも一定の収入がある場合などは、確定申告をしなければならないため注意が必要です。
▼▼確定申告の詳細はこちらで解説しています!▼▼
(1)給与所得があるケース
会社員で給与所得がある方は、給与の額によって対応が異なります。
一般的なケースは給与所得が2,000万円以下で、CFD取引での利益が年間20万円以上の場合です。
給与所得が2,000万円以上になると、会社で確定申告をしていても他に自分で確定申告をしなければなりません。
また、給与所得が2,000万円以下であり、CFD取引での利益が年間20万円未満の場合は、確定申告をする必要がありません。
つまり、CFDで少額の利益を得たに過ぎない場合は、確定申告の必要はないのです。
(2)給与所得がないケース
フリーランスや主婦、学生の方など給与所得がない方は、CFD取引の利益が年間48万円以上になったときに限り、確定申告対象者となります。
また、主婦の場合はCFD取引の利益が年間48万円以上になると、配偶者控除などに影響が生じるため注意が必要です。
(3)確定申告に必要な書類
確定申告には以下の書類を用意する必要があります。
- 源泉徴収票(元本)
- 確定申告書B(フリーランス・個人事業主などはBを選択)
- 分離用(第三表)
- 損失用(第四表)※損失繰越控除を申請する方
- CFDの年間損益報告書(1年間分の損益が分かるもの)
確定申告で必要な書類は変更される可能性があります。詳しくは国税庁の公式ホームページで確認してください。
(4)CFD取引で経費計上できるもの
CFD取引の確定申告では、様々な費用を経費計上することができます。
- 通信費
- パソコン代
- 交通費
- セミナー受講費
- 本・書籍
またこれ以外の支出も、CFD取引をするための経費として計上できる可能性があります。詳しくは各地の税務署や税理士にご確認ください。
4.CFD取引の主なメリット
CFDは雑所得として計上されるなど面倒なところはありますが、取引や配当などの点で多くのメリットがあります。
(1)レバレッジをかけ、少額から取引できる
CFD取引はレバレッジをかけることができるため、少額の元手でもある程度の投資を行うことができます。
日本国内でCFDを取り扱っている証券会社では、株式で5倍、株価指数で10倍、債券で50倍など、商品に応じて大きなレバレッジをかけることが可能です。
CFD投資は資金の受け渡しを行う必要がなく、投資する金額の何分の1かの証拠金を用意すれば取引できる点がメリットです。
ただし、初心者がいきなり大きなレバレッジをかけてしまうとその分リスクも大きくなります。
取引のはじめは大きなレバレッジをかけず、徐々に倍率を高くしていくことをおすすめします。
(2)24時間取引ができる
CFDは24時間いつでも取引を行うことができます。
日本の株式市場の場合は午後3時に市場が閉まってしまうため、サラリーマンにはリアルタイムでの取引が難しいのが難点です。
一方、CFD取引は金融商品や指数などが24時間取引されており、いつでも取引に参加することができます。
昼間会社で仕事をするサラリーマンでも気軽に参加できる点がメリットです。
(3)配当を得られる
CFD取引は売り注文から取引を開始でき、買いポジションで商品を保有している際には配当金相当額を受け取ることも可能です。
取引金額が大きくなるほど配当金も大きくなるため、レバレッジをかければ少ない元手で大きな利回りも狙うことができます。
ただし、売りポジションを保有している場合、配当額相当を支払う必要がありますので、ポジションには注意が必要です。
(4)手数料が無料
CFD取引はレバレッジをかけて取引を行いますが、手数料は無料です。
ただし、日をまたぐポジション保有は「オーバーナイト金利」がかかるケースがあるため、1日で終わらない取引まですべて無料で取引できるわけではありません。
▼▼CFDの手数料(レバレッジ)に関してはこちらで解説▼▼
CFDは少額取引からはじめてみよう!
CFDは20万円未満の利益であれば確定申告の必要はありません。
また、CFDはレバレッジをかけることで少額の手元資金から投資が行えます。
大きな利益が出たら確定申告を忘れず、源泉徴収票など必要書類を早めに揃えておくようにしましょう。
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※ライター:江連良介