2021年(令和2年分)確定申告の期間や期限は?変更点なども解説

「今年の確定申告の期間・期限っていつだっけ?」と心配になっていませんか?

今年度の確定申告はすでに開始されており、〆切は令和3年4月15日まで!

例年よりも1か月延びたので、ほっと一安心されている方も多いかもしれません。

しかし所得税の還付金がある場合は、確定申告を早めに提出した方が、早く現金が戻ってきます!

そこで今回は、2021年(令和2年分)の確定申告の期間や期限、法制度の変更点などについて詳しく解説します。

また、確定申告に便利なクラウドツール「マネーフォワード クラウド確定申告」「会計freee(確定申告)」「やよいの青色申告オンライン」の特徴も比較しました。

ぜひこれからの確定申告の参考にしてください。

※所得税の計算方法を知りたい方は、こちらもチェック!

1.確定申告の概要と期限

確定申告期間2

まずは、確定申告の手続きが開始される時期や申告期限について解説します。

確定申告とは?
  1. 納めるべき税額を申告すること
  2. 2021年(令和2年分)所得税の確定申告期限は令和3年4月15日まで
  3. 医療費控除の還付申告は1月から可能

(1)確定申告とは?

確定申告とは、個人・法人が翌年納税すべき税額を国に対して申告する手続きのことをいいます。

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間を対象とし、収入から事業に必要な経費を差し引くことで、所得を算出します。

そして算出した所得に基づき、納める税額や還付される金額を申告します。

確定申告には青色申告白色申告があり、青色は事業所得や不動産所得がある個人事業主が、白色は青色を提出していない事業者が行う手続きです。

(2)令和2年度分の確定申告の期間や納付期限は?

所得税の確定申告期間は、毎年2月16日〜3月15日の間です。

しかし、土曜、日曜、祝日の場合は翌日に読み替える必要があります。

また今年度はコロナ禍の影響で、4月15日までと例年よりも1か月〆切が延びました!

よって、2020年の1月1日~12月31日の間に得た所得は、2021年(令和3年)2月16日(火)から4月15日(月)の期間中に確定申告を行う必要があります。

また、確定申告をした後に申告の誤りが発覚した場合は、上記期限中であれば申告書を修正し再提出することが可能です。

確定申告の期限が過ぎてから申告すると「期限後申告」という扱いになり、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されることがあります。

確定申告は作業に手間がかかるためついつい後回しにしがちですが、期限を過ぎると不利益が生じる恐れがあるため、早めの準備が肝心です。

(3)医療費控除の還付申告は1月から受付開始

医療費控除は、診療でかかった費用や通院費などが所得税から控除される制度です。

1年間で支払った医療費が一定額を超えると、確定申告することで医療費が課税対象の所得から控除され、一部が還付されます。

通常の確定申告は毎年2月16日〜4月15日の間ですが、会社員など給与所得者が医療費控除等の還付申告をする場合は、1月1日から受け付けが開始されます。

ただし、年末年始は税務署は休みのため、受付窓口での手続きは実質それより後になります。

2.確定申告が必要な人は?

確定申告期間2

確定申告が必要な人は、主に以下に該当する人です。

確定申告が必要な人
  • 本業以外の所得が20万円を超えている人
  • 住宅ローン控除を使う人
  • 株などの運用益が38万円以上ある人

(1)本業以外の所得が20万円を超える人

会社員の場合、給与所得以外に20万円以上の所得がある人は、確定申告が必要です。

例えば、本業は会社員として給与所得を受け取っており、休日に副業をして1年間で20万円以上稼いだ場合は、確定申告をする必要があります。

(2)住宅ローン控除を使う人

住宅ローン控除とは、自宅を購入するために一定の条件でローン契約をしたり、バリアフリーや省エネなどの改修工事をすると、年末のローン残高に応じて税金が還付される制度のことです。

住宅ローン控除を受けるには、所得が3,000万円以下であること、10年以上返済期間がある住宅ローンであることなどの要件が設けられています。

これらの要件に当てはまる場合、大まかに言うと10年間ローン残高の1%相当の税金が戻ってきます。

住宅ローン控除が適用できるかどうか確認し、要件に該当する場合は確定申告を忘れないようにしましょう。

(3)資産運用の場合は申告不要なケースもある

家・土地などの不動産による賃貸収入、不動産所得がある人や、株取引などの譲渡益が38万円以上ある人は、確定申告をする必要があります。

ただし、株取引などの場合、自動的に源泉徴収される特定口座を利用していたり、NISAなどの非課税投資の枠内での運用している場合は申告の必要はありません。

3.令和2年分の確定申告で変更になったこと

確定申告期間3

令和2年分の確定申告では、以下の点が変更になったので、間違いのないようにチェックしておきましょう。

令和2年分の変更点
  1. 給与所得控除の引き下げ
  2. 基礎控除の引き上げ
  3. 所得金額調整控除の新設
  4. 配偶者控除、扶養控除などの要件見直し
  5. 未婚のひとり親に対する各種見直し
  6. 青色申告の特別控除が変更に

(1)給与所得控除の引き下げ

会社員などは給与所得控除が適用され、所得税の計算では最初に収入から差し引かれます。

この給与所得控除の額については、令和2年分から一律10万円引き下げられることが決まりました。

また、給与所得控除の要件である「給与等の収入金額」の上限額についても、改正前の「年収1,000万円」から「年収850万円」に変更となります。

給与所得控除の上限額も220万円から195万円に変更となり、年収が850万円を超えるとそれ以上は控除額が増えなくなりました。

給与等の収入金額(年収)

給与所得控除額
平成29年分〜平成31年(2019年)分まで 令和2年分以降
162.5万円以下 65万円 55万円
162.5万円越 180万円以下 収入金額×40% 収入金額×40%ー10万円
180万円越 360万円以下 収入金額×30%+18万円 収入金額×30%+8万円
360万円越 660万円以下 収入金額×20%+54万円 収入金額×20%+44万円
660万円越 850万円以下 収入金額×10%+120万円 収入金額×10%+110万円
850万円超 1,000万円以下 195万円(上限額)
1,000万円超 220万円(上限額)

※参考:No.1410 給与所得控除(国税庁)

(2)基礎控除の引き上げ

基礎控除は全納税者に対して適用される控除で、以前は基礎控除に対して一律38万円が控除とされ、適用要件は特別設けられていませんでした。

しかし今回の改正では、基礎控除にも合計所得金額に応じて適用要件が設定されることに。

合計所得金額が2,400万円以下であれば、48万円控除されるようになりました。

しかし合計所得金額が2,400万円を超える場合は基礎控除が減額されるため、収入が多いほど控除が大きくなるわけではありません。

また、この改正により住民税の基礎控除の額にも変更が生じます。

合計所得金額

基礎控除の額
平成31年(2019年)年分 令和2年分以降
2,400万円以下

 

38万円(33万円)

48万円(43万円)
2,400万円越 2,450万円以下 32万円(29万円)
2,450万円越 2,500万円以下 16万円(15万円)
2,500万円越

※参考:No.1199 基礎控除(国税庁)

※( )内は住民税の算定に用いられる基礎控除の額

(3)所得金額調整控除の新設

平成30年度の税制改正により、年収850万円を超える世帯では、上記の通り所得税が増税となります。

介護をしている世帯や子育て世代がこの影響を受けないようにするため、新たに「所得金額調整控除」という控除が設けられることになりました。

所得金額調整控除は、給与所得控除の引き下げと同時に適用されます。

対象者は年収が850万円を超えており、以下の3つの条件のいずれかを満たす従業員でなければなりません。

  • 本人が特別障害者である
  • 23歳未満の扶養親族がいる
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

年末調整で所得金額調整控除の適用を受けたい場合、「所得税額調整控除申告書」を提出する必要があります。

(4)配偶者控除、扶養控除などの要件見直し

上記3つの改正に伴い、各種控除を受けるために、配偶者や扶養親族などの合計所得金額の要件も見直されることになりました。

具体的には、以下の5つの要件が見直されます。

各種控除の要件見直し
  • 同一生計配偶者の合計所得金額要件
  • 扶養親族の合計所得金額要件
  • 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件
  • 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件
  • 勤労学生の合計所得金額要件

これらの控除の要件は、改正前と改正後で以下のように変更されています。

扶養親族等の区分 合計所得金額要件
改正後 改正前
 同一生計配偶者及び扶養親族 48万円以下 38万円以下
 源泉控除対象配偶者 95万円以下 85万円以下
 配偶者特別控除の対象となる配偶者(注1) 48万円超133万円以下 38万円超123万円以下
 勤労学生 75万円以下 65万円以下

昨年から変わった点(国税庁)

(5)未婚のひとり親に対する各種見直し

未婚のひとり親に対する税制上の措置や控除は、令和2年分の年末調整から適用される項目があります。

以前の寡婦(夫)控除は、控除対象者となる「ひとり親」は「離婚・死別」によるひとり親のみとされており、未婚のひとり親には適用されていませんでした。

また、男女のひとり親で寡婦(夫)控除額に差があるなど、男女間の問題も生じていました。

そこで今回の改正では、離婚や死別だけではなく全てのひとり親家庭に公平な税制支援が行われるようになっています。

令和2年分からのひとり親控除・寡婦(寡夫)控除の要件
  • 婚姻歴や性別に関係なく、本人の所得合計金額が500万円(年収 678万円)以下の単身者と子(総所得金額等が48万円以下)がいれば、同一の「ひとり親控除」として控除額35万円。
  • 子以外の扶養親族がいる寡婦、または扶養する親族がいない寡婦は寡婦控除として控除額が27万円。
  • 住民票の続柄欄が「夫(未届)」「妻(未届)」の場合は対象外とする。

令和2年分の源泉徴収事務は、毎月の給与や公的年金に対する源泉徴収について改正前の控除額となり、年末調整の段階で改正後の控除が適用されることになっています。

(6)青色申告特別控除の適用条件が変更に

令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除と呼ばれる控除を受ける要件が変わりました。

令和2年分の青色申告特別控除には65万円、55万円、10万円の3種類の控除パターンがあり、最大の65万円控除を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。

青色申告特別控除で65万円控除に該当するための要件
  1. 電磁的記録の備付けおよび保存をしている
  2. e-Taxにより電子申告をしている

↓e-Taxでの青色申告で便利なクラウドツール↓

4.令和2年分の確定申告からできるようになったこと

確定申告期間4

令和2年分の確定申告では、以前よりスマホやブラウザでの確定申告の手続きがしやすくなりました。

具体的に改善された環境について解説します。

(1)スマホでの確定申告が簡単になった

以前の確定申告はe-TaxアプリやマイナポータルAPなど一度に複数のアプリを端末にインストールしなければならず、準備がやや煩雑でした。

しかし、令和3年1月からは、スマホのマイナンバーカード方式でe-Tax送信を行う際は、Android端末やiPhone端末でもマイナポータルAPのインストールが可能となりました。

詳しくは国税庁のホームページに設定方法が記載されているので、事前に確認してください。

(2)Chrome×マイナンバーカード方式が使えるようになった

令和3年1月から、「確定申告書等作成コーナー」の推奨環境がより充実し、Google ChromeやMicrosoft Edgeでもマイナンバーカード方式でのe-Tax送信が可能となりました。

以前はGoogle Chromeは推奨環境ではなく、わざわざ使いなれていないブラウザから作業を行う必要がありましたが、今回からはその必要がありません。

しかし、依然としてfirefoxはe-Taxのマイナンバー方式での作業に対応していません。

詳しくは国税庁のホームページに推奨環境のリストが公開されているので、事前に確認してください。

5.確定申告の方法

確定申告期間5

確定申告の方法は対面・Web・郵送の3種類存在します。

手続きのコストや控除などのメリットを考えると、e-Taxでの申告が最も効率が良いでしょう。

(1)確定申告の提出方法は対面・Web・郵送の3種類

確定申告の提出方法は、税務署の受付に提出する方法、郵送により提出する方法、e-Taxによる申告の3つがあります。

受付に提出する場合は、税務署の営業時間外であっても時間外収受箱に投函することで提出することができます。

また、郵便で税務署に送付する場合は「第一種郵便物」か「信書便物」で郵送する必要があり、通信日付印記載の日付を提出日と見なします。

(2)おすすめの確定申告の方法はe-Tax

確定申告の中でも、e-Taxでの申告は非常に便利です。

e-Taxには以下のメリットがあります。

e-Taxのメリット
  • 税務署に行くことなく確定申告が可能
  • 申告書、添付書類などもオンラインで完結するためペーパーレス化できる
  • 書面による申告より還付金を早く受け取ることができる
  • 納税証明書の交付請求手数料が書面請求の場合より安価

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーでは、スマホやタブレットでも所得税の確定申告書を作成することができます。

窓口や郵送による申告より手続きにコストがかからないため、できればe-Taxを利用するようにしましょう。

↓e-Taxでの青色申告で便利なクラウドツール↓

6.確定申告を期間内に終わらせるための代表ツール3選

確定申告期間6

確定申告は1か月程度しか申告期間が設けられておらず、なれない作業であったとしてもスピーディーに終わらせる必要があります。

ここでは効率良く作業が可能なソフトを3つご紹介します。

(1)マネーフォワード クラウド確定申告

マネーフォワード クラウド確定申告は、連携可能な銀行やクレジットカードなどの金融関連サービス数は国内No1の3,600以上と、最も幅広く自動入力が利用可能なクラウド会計ソフトです。

人工知能(AI)がビッグデータを元に勘定科目を提案してくれるため、面倒な作業を効率化することができます。

また、マネーフォワード クラウド確定申告では登録後1か月間全ての機能を利用できるトライアル期間が設けられています。

確定申告期間が始まる前に、まずはトライアルを試してみてはいかがでしょうか。

(2)会計freee(確定申告)

会計freee(確定申告)は、クラウド会計シェアNo.1ソフトであり、100万ユーザーが利用している人気クラウド会計ソフトです。

freeeはスマートフォン・タブレット専用アプリが用意されているため、領収書の管理から確定申告までスマホで完結させることができる点が人気の理由です。

また、銀行・クレジットカードと連携して自動処理が可能なため、簡単に確定申告の準備ができます。

(3)やよいの青色申告/白色申告 オンライン

時間がない中で面倒な所得税の計算を自動でしてくれる便利なツールに、「やよいの青色申告オンライン」「やよいの白色申告オンライン」があります。

弥生は21年連続でBCN AWARD(業務ソフト部門)最優秀賞を受賞しており、“2人に1人が使う”業務ソフトとして絶大な人気を誇っています。

特に「やよいの白色申告 オンライン」は初期費用・月額が無料になっており、「まずは試しに使ってみたい」と考える方にもうってつけです。

情報の入力時は日付や金額など家計簿のように設定し、ソフト内のガイダンスに沿って入力するだけ。

書類作成や控除額を自動計算が可能であるなど、初心者にやさしい機能が充実しています。

白色申告を考えている方は、ぜひ試しに無料版を使ってみてください。

まとめ

今回は確定申告の期間や令和2年分の変更点などについて紹介してきました。

令和2年分は控除に関する変更点が多いため、戸惑うこともあるかもしれません。

所得税などの確定申告の際には、できるだけ簡単に確定申告書の作成が可能なツールを使うことをおすすめします

確定申告期間が始まる前に一度利用してみると良いでしょう。

※ライター:江連良介

※所得税の計算方法を知りたい方は、こちらもチェック!

渡辺 広康

渡辺 広康公認会計士・税理士

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【監修者】在学中に公認会計士資格を取得。金融機関等へのコンサルティング業務を経験し、M&Aや会計コンサルティング業務、投資・資産運用に対するアドバイザリー業務を行っている。

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