【FPが解説】共働き夫婦で手取り月50万円。貯金や投資はいくら必要?

「夫婦で手取り月50万円。貯金や投資はいくらすべき?他の人はどうしている?」
人それぞれとわかってはいても、他の家庭の貯金や投資額って気になりますよね。

家計調査によると、手取り月収50万円の勤労者世帯の貯金額は、毎月約14万円※。
投資も含めた金融資産は、毎月約16万円増えているという実態があります。

とはいえ、この金額はあくまで平均値。
子どもの成長にあわせて教育費がかかる子育て世帯では、思うように貯金できないこともあるでしょう。

今回は、子どもの教育費が気になる共働きの子育て世帯にフォーカスし、FPである筆者が貯金・投資金額の考え方を解説していきます。

  • 手取り月収50万円のうち、いくら貯金・投資すればいいのか、貯蓄の考え方を知りたい
  • 子育て世帯におすすめの貯金・投資方法を教えてほしい

このような方は、参考にしてみてください。

※出典:「2019年度 家計調査 家計収支編 2人以上の世帯」より、世帯主の年齢が35歳~49歳の世帯の貯蓄率を参照

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【平均額】手取り月50万円世帯の生活費・貯金額・投資額

総務省の家計調査によると、35歳~49歳の勤労者世帯の手取り月収は、平均約49万円です。
勤労者世帯とは、世帯主が会社や商店、官公庁に勤めている世帯のこと。
つまり働き盛りのサラリーマン世帯の平均的な月収が、手取り50万円前後なのです。

ここでは同調査を元に、手取り月収50万円世帯の平均的な生活実態を見ていきましょう。

<35歳~49歳の勤労者世帯(2人以上)の生活実態>

世帯主の年齢区分

全年齢平均

(20代〜80代)

35~39歳 40~44歳 45~49歳
手取り月収 47.6万円 46.9万円 49.3万円 51.6万円
住居費込みの生活費 32.3万円 29.7万円 31.1万円 35.5万円
預貯金純増 13.1万円 13.5万円 14.1万円 13.5万円
有価証券購入 1,020円 877円 -146円 1,227円
金融資産純増額 15万円 15.9万円 16.8万円 16万円

出典:「2019年 家計調査-家計収支編 二人以上の世帯-」e-Statより「世帯主の年齢階級別」のデータを参照
※手取り月収=可処分所得
※生活費=消費支出
※有価証券=株式や債券・投資信託などの有価証券の購入費
※30歳~34歳はデータ無し

まとめると、働き盛りの35歳~49歳で、手取り月収50万円世帯の生活実態は以下のとおりです。

  • 預貯金額:毎月14万円前後。年代による差は少ない
  • 生活費:毎月30万円~36万円程度。年齢が上がるにつれて生活費も増えていく傾向
  • 有価証券(株式や債券など)購入:金融商品の購入・投資金額は毎月約652円
  • 金融資産(預貯金、保険、株式などの金融資産すべて)純増額:毎月約16万円増えている

手取り収入に対する貯蓄率は、約3割。
貯蓄率3割は、FPとしても理想的な貯蓄率だと思います。

ただし子育て世帯では、子どもの成長にあわせて教育費や子育て費の支出が増えていくため、同じ貯蓄率を維持し続けるのは大変です。
子育て期には貯められる時期と貯められない時期があることを理解し、適宜貯蓄額を調整していくようにしましょう。
次からは、子育て世帯の貯蓄の考え方についてお話していきます。

共働きの子育て世帯 貯金や投資の考え方

ひと口に子育て世帯と言っても、貯金や投資の適正額は、現在の資産状況や家族構成、今後のライフプランによって大きく異なります。
したがって「子育て世帯はいくら貯めるべきか?」という問いに対する正解はありません。各家庭で貯めるべき金額は違うからです。

そうは言っても、だいたいの目安や理想の貯蓄率を知りたい人も多いと思います。
ここでは、子育て世帯の一般的な貯蓄の考え方についてお話していきましょう。

子育て世帯は「貯め時の7年間に集中」して貯める

支出の変動が激しい子育て世帯では、保育料無償化の対象になる3歳から、小学校中学年の10歳までの貯め時に集中して貯めることをおすすめします。
この7年間は、できる限り貯蓄率3割~2.5割を目標に、貯蓄1,000万円を目指してください。

<子育て世帯の貯め時と貯蓄の目安>

  • 3歳から10歳ごろまでの7年間に毎月12万円~15万円を目標に貯める
  • 貯蓄元本は1,008万円~1,260万円になる

小学校高学年以降は、塾通いや部活動が本格化し、毎月の教育費・子育て費がかかりやすい時期になります。
その時期は貯蓄率を1割(毎月5万円)程度に抑えて、目の前の教育費を支払うことに集中しましょう。

貯め時の7年間に1,000万円程度の貯蓄を作っておくと、運用できる金融商品の選択肢が広がります。
運用利回りのいい商品で運用していけば、支出が多く貯蓄ができない期間も効率よく資産を増やせるでしょう。
もちろん各家庭で適正な貯蓄額は違いますが、貯蓄の方法で悩んでいる方は、参考にしてみてください。

3大資金を用意する際の考え方

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子育て世帯が3大資金を用意する際のポイントは、以下の2つです。

  • 教育費と住宅資金は現役時代のうちに手取り月収から支払う
  • 老後資金は現役時代のうちにできる限り貯めておく

つまり貯蓄のメインは、老後資金です。
詳しくは、以下をご覧ください。

<教育費>

  • 基本は毎月の収入で支払い、大学費用は貯蓄しておく
  • 大学費用は私立大学費用の半分 = 300万円~400万円程度を目安に17歳までに貯める
  • 貯め時は、保育料が無償になる幼児期(3歳)から小学校中学年(10歳)までの7年間
  • 必要な時期が決まっているため、資金の出口を確保しやすい預貯金や財形貯蓄、保険を中心に備える

<住宅資金>

  • 基本的に毎月の収入で支払う
  • 住居費(ローン・各種税金すべて含む)は手取り収入の2割以内に抑える
  • 定年までに支払いを終えられるようローンを組む
  • いつ買うかわからないため、いつでも資金を引き出せる預貯金や財形貯蓄で備える

<老後資金>

  • 以下参考データを元に、老後の生活費を毎月いくらでやりくりするのか決める
  • 上記で決めた生活費から将来受け取れる年金額を差し引いて不足する金額が、将来必要な老後資金
  • 老後資金は用意できる期間が長いため、リスクをとりやすい。投資信託などの投資商品を積極的に利用する

まとめると、子育て世帯にとって最低限必要な貯蓄額は、

  • 子どもの大学費用300万円~400万円程度
  • 各家庭にあわせた老後資金(家計調査を目安にすると約1,200万円)

です。

先述した「3歳~10歳までの貯め時」に毎月12万円~15万円貯蓄して1,000万円作っておくと、上記の貯蓄額を貯めやすくなります。
貯蓄方法に投資も組み合わせれば、より効率よく資産を増やせるでしょう。

貯金と投資の割合

効率よく貯蓄していくためには、預貯金に投資を組み合わせることが大切です。
ただ、「貯蓄のうちいくら貯金して、いくら投資に回すのか?」については、正解がありません。
家庭の資産状況やリスク許容度によって適正な割合は異なるからです。

筆者のおすすめは、まず生活費の半年~1年分程度の貯蓄を預貯金で用意する。
そのうえで毎月の貯蓄の2割を投資に回して、徐々に投資の割合を増やしていく方法です。

まとまった生活防衛資金があれば、失業や退職による収入減など、何かあったときにも安心です。
精神的にも余裕をもって投資に取り組めるため、まずは万一の生活防衛資金を作りましょう。

そのうえで少しずつ投資へシフトしていけば、リスクが怖い方でも余裕を持って投資を始めやすいのではないでしょうか。

あくまで一つの提案ですが、「いくら投資どうすればいいかわからない」方は参考にしてみてください。

貯蓄のメインは老後資金

老後

子育て世帯であっても、貯蓄のメインは老後資金であるとお伝えしました。

なぜなら教育費は、現役時代に支払いが到来するからです。
「教育費は子ども1人あたり1,000万円」と言われますが、実際に1,000万円を一括で払うわけではありません。
公立なら、小学校~高校の学費は毎月2万円~4万円程度。
手取り月収が50万円ある共働き世帯なら、家計の中でやりくりして払える金額でしょう。

教育費の中で最低限貯蓄が必要なのは、まとまった学費が必要な大学時期です。
一般的に、私立大学の学費は400万円~650万円程度かかります。
子育て世帯では、そのうちの半数程度を貯蓄で用意しておけば、残りはその時点の収入で支払いやすくなります。
どうしても不足が生じたら、子どもと話しあって低金利の奨学金を利用することも考えましょう。

走りながら払える教育費・住宅資金と違い、老後資金は走りながら払うのが困難な費用です。

老後に働くという選択肢もありますが、勤務先の再雇用制度を利用しても働けるのは65歳までというのが一般的です。
また再雇用制度では、収入が大幅にダウンする方が多くなっています。

現役時代に夫婦で手取り月収が50万円あった世帯では、その収入ベースでの生活になれているはずです。
家計調査での老後の平均生活費は、毎月約24万円
ですが、現在30万円程度の生活費がかかっている家庭で、毎月6万円以上も生活水準を下げられるでしょうか。

ばりばり働き毎月50万円を稼いでいる共働き世帯にとって、恐れるべきは収入が下がってからの老後の生活費なのです。

そのため、子どもの教育費は大学費用の半数を目安に貯め、残りは老後資金に注力することをおすすめします。
まずは老後資金がいくら必要なのかを把握し、子どもが小さい貯め時に貯蓄の土台を作るようにしてください。

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共働きの子育て世帯におすすめの貯金・投資方法は4つ

共働きの子育て世帯が貯金・投資するときのおすすめは、以下の4つです。

<貯金>

  1. 給与天引きできる財形貯蓄
     ∟勤務先で制度がある方のみ使える貯金制度。住宅購入予定がある方は、財形住宅貯蓄がおすすめ
  2. 自動積立定期貯金
     ∟給与日に引き落とし設定しておくと、自動的に給与天引きで貯金できるようになる

<投資>

  1. 投資一任型のロボ・アドバイザー
     ∟投資対象選びから実際のファンド購入まで、全自動でお任せできる。
     「投資はよくわからない、調べるのも面倒」という方におすすめ
  2. つみたてNISAでインデックス型の投資信託購入
     ∟投資対象を自分で選ぶ必要はあるが、一度積立設定すればあとはほったらかしで投資できる

いずれも最初に金額や口座を設定すれば、あとは自動的に貯金や投資を継続できる方法です。
運用に時間を取られることがなく、相場の値動きに一喜一憂する必要もないため、忙しい共働きでも続けやすいでしょう。

共働きは、基本的に時間がありません。
夫婦で働いて世帯月収50万円を維持し、その一方で家事と子育てをしている世帯なら、なおさら時間がないでしょう。

貯金や投資で「よりお得な方法を知りたい」と思う人は多いのですが、大切なのは自分のライフスタオルにあった方法を続けることです。
「何が儲かるか」ではなく「何が自分たち夫婦にあっている」かの視点で考え、続けやすい方法を選択してくださいね。

私自身、夫婦でフルタイム共働きの子育て世帯です。
マンションの頭金は、会社の財形住宅貯蓄で貯めました。
子どもの教育費代わりの学資保険は、銀行の自動積立定期預金で貯めていた貯金を元に、一括払いにしました。
いずれも給与天引きの仕組みを使った貯蓄だったため、無理なく自然に貯められたのだと思います。

投資についても、日中は仕事で忙しく、株価チャートをじっくり見る時間はありません。
そのため私の場合は、つみたてNISAとiDeCoを使って、インデックス型の投資信託を定期購入しています。
「投資信託を選ぶことすら面倒」という方は、ロボ・アドバイザーを利用しましょう。

つみたてNISAとiDeCoでは、どちらにするか迷う方もいると思います。
個人的には、支出の変動が激しい子育て世帯にはつみたてNISAがおすすめです。

つみたてNISAは資金の出し入れが自由で、貯めた資金に色をつけずに運用できます。
出費が多い月は投資しない、貯めた資金は教育費にも老後資金にも使えるという使い勝手のよさは、子育て世帯向けではないでしょうか。

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まとめ

各家庭によって、貯蓄額の正解は違います。
とはいえ「いくら貯めるべきか」に悩み、貯蓄を始めないのは本末転倒です。

共働き世帯で貯蓄を考える際は、以下4つのポイントを意識してみてください。

  • 3歳~10歳の貯め時に集中して貯蓄し、大学費用の半分を貯めておく
  • 10歳以降は目の前の教育費や住宅費の支払いに集中しつつ、できる範囲で老後資金を貯める
  • 預貯金は財形貯蓄と自動積立定期預金、投資はロボ・アドバイザーとつみたてNISAがおすすめ
  • 預貯金で生活費の半年分程度を用意できたら、残りは貯蓄の2割を投資にあて、各家庭のリスク許容度に応じて投資割合を増やす

大切なのは「何がいいか」ではなく「自分たちの家庭には何があっているか」です。
ご紹介した共働き世帯の貯蓄の考え方を参考にまず貯蓄を始めてみて、あとは各家庭の実態にあわせて調整してください。

※ライター:服部 椿

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