「そろそろ投資を始めたいけれど、株は買いどきなの?」「株式投資って実際にどうやったらいいんだろう……?」
2021年の日本やアメリカの株式相場が今度どんな動きをするのか、投資初心者はどうやって投資銘柄を選んだらいいのか、気になりませんか?
そこで、日本株のファンドマネージャーとして活躍されている、上原聡さんに直撃取材!
先にリリースした前編では、上原さん自身の投資経験や投資初心者がやるべきこと、逆にやらない方がいいことなど、投資初心者に今知ってほしい情報を伺いました。
この後編では、2021年の日本株式市場の動向や、初心者投資家こそ実践してほしい「GARP投資」、投資家同士のリアルな交流ができる「投資家バー Stock Pickers」の情報などをお伝えします。
プロの話を聞ける機会はなかなかありません。ぜひ今後の資産運用に生かしてくださいね。
★前編の記事はこちらからご覧ください!
2021年の日本株式相場はどうなる!?上原さんの予想
——さっそくですが、2021年の日本株式相場の動向について伺いたいと思います。ずばり、日本株は上がると思いますか!?
振り返りを含めて説明すると、まず2020年後半から株価は好調です。その理由は新柄コロナのワクチン接種が始まったことや、米国大統領のバイデンさんが大きな経済対策を行うと予想されたことなどが挙げられます。要するに、今後の景気回復を織り込んで米国株や日本株が上昇していたわけです。
日本企業の業績は2020年の4-6月期を底に回復中で、2021年度は増益率がかなり高くなると思います。実際、直近で発表されている決算では上方修正も増えており、さまざまな業界で業績が回復中です。
2021年度は業績回復の年になると思うので、4~5月ごろまでは2021年度の高い増益率を織り込んで株価は上がりやすいのではないでしょうか。
そして実際に4~5月になって、2020年度の本決算と2021年度の見通しが発表されたら、株価は一旦落ち着くと思います。すでに株価はそれなりに割高ですし、本決算のタイミングで会社から業績予想が発表されたら、2021年度の業績回復も株価には十分に織り込まれるんじゃないかと思います。
まとめると、年前半は業績回復を織り込んで株価は上がりやすくて、年後半は米国のテーパリングなどが意識されるようになって上がりにくくなると考えています。日経平均株価30,000円台も十分に期待できると思いますよ。
——テーパリング!それは何でしょうか?
テーパリングとは、量的金融緩和の縮小のことです。
アメリカでは、中央銀行が金融機関を通じて国債を大量に買っています。中央銀行が景気を支えるために市場にお金を供給していて、これを量的金融緩和と呼びます。
量的金融緩和はアメリカに限らず日本や欧州でも行われていて、市場にお金が大量に供給されているので、株式相場も上昇しているわけです。
ただ景気回復がある程度見込めたら、中央銀行は資産を買い入れする金額を減らし始めます。これをテーパリングといいます。
市場に供給されるお金の量が減るので、株式相場にとってはネガティブな材料になります。
実際にテーパリングが行われるのは来年以降になりますが、今年に入ってからテーパリングの議論がぼちぼち出始めました。テーパリングの時期が具体的に意識されるようになると、株式市場にも一旦調整が入ると思っています。
投資初心者は「GARP投資」を実践しよう!
——投資手法といえば、バリュー株投資やグロース株投資があります。投資初心者はどんな手法を使って2021年の相場に挑んだらいいのでしょうか?
バリュー株投資とグロース株投資が対比して語られがちですが、もうひとつ「GARP投資」というのがあるんですよ。
- バリュー株投資:企業の価値に対して割安な株式に投資する手法
- グロース株投資:売上高や利益の成長率など、将来性が期待できる株式に投資する手法
- GARP投資:企業の成長性と割安性の両方に着目した投資手法
GARP(growth at reasonable price)投資は、世界的な投資家であるウォーレン・バフェットも使っている手法です。先ほど前編で、初心者にはバリュー株投資7割+短期投資3割がおすすめとお話しましたが、より正確に言うと、GARP投資をメインの長期投資で実践するのが良いと思っています。
「バリュー株投資」というと単純にPBRやPERが低い株を買うと思われがちですが、そういう単純な割安株を買うのは個人的にはあまりおすすめしていません。
企業の成長性や実力を無視して割安株を買うと、ずるずると株価が下がっていくリスクも高いです。また、グロース株投資をする場合でも、その株価が割高かどうかを意識しないと高値掴みをしてしまう可能性もあります。
なので成長性がある企業を適正な価格、できれば適正よりも割安な価格で買うGARP投資が、手法としては一番おすすめです。
個人投資家が気軽に情報交換できる場を、東京・銀座にオープン
——上原さんは2021年3月に投資家バーを開くそうですね。実はお酒をそんな飲まないという情報を掴んでいるのですが、なぜバーをやろうと思ったのですか?
理由は2つあって、1つは投資家バーがあったら面白そうだなとシンプルに感じたからです。投資家が夜な夜な集まって、投資について語り明かしているバーがあったら私も行きたいなあと思って。Twitterを始めたのも、個人投資家同士のつながりがほしかったからなんですよね。
もう1つの理由は、投資に関して相談できるリアルな場を提供したいと思ったからです。先ほど、ネット上では正しくない情報を流す人がいると言いましたが、実は私、詐欺に遭って1,000万円ほど失ったことがあるんですよ。
——1,000万円!?どんな詐欺に遭ったんですか?
これから建つ海外不動産を購入して収益を得る、不動産投資の詐欺でした。私は株式投資の経験はあったのですが、不動産投資は初心者。かなり有名なインフルエンサーが紹介していた案件だったので、大丈夫かなと思って前払い金の1,000万円をを払ってしまったんですよね。
そのあとにおかしいなと思って調べたら、どうやら私がお金を払った人は不動産を建てずにドバイに逃げたみたいで。最終的にはあと1,000万円支払う予定だったので、被害額が半分で済んでよかったです(笑)。
でもこれは、リアルで相談できる知り合いがいたら防げた被害だったと思います。後になって不動産投資に詳しい人に聞いてみたら、実はよくある詐欺の手口だったみたいです。
私は相談できる人がいなくて詐欺に遭ってしまいましたが、もし誰かにこの話を相談できたら、入金する前に気づけたかもしれない。
だからこんな思いをする投資初心者が少しでも減ってほしいなと思って、投資家バーを開くことにしました。
コロナ禍で飲食店経営が厳しい状況ではありますが、感染の状況を見ながら適切に運営していきたいと考えています。よかったらぜひいらしてくださいね!
「投資家バー Stock Pickers」(2021年3月オープン)
◎営業時間
月曜日~土曜日:18:00~24:00(日曜定休)
◎住所
〒104-0061
東京都中央区銀座8-2-14 竜王ビル4階(新橋駅銀座口より徒歩5分)
——最後に、上原さんの今後の展望や、投資初心者へメッセージをお願いします。
株式投資にはお金を増やす以外にもさまざまなメリットがあると思います。株式投資を通して様々な会社を知り、その業績が株価にどのような影響を与え、世界情勢や世界経済とどう連動するのかを予測して行動できるようになる。
また株を通して社会経済に敏感になれば、些細な変化を捉えて会社の仕事にも活かせます。たとえ投資金額が少なくても、株式投資には多くのメリットがあるんです。
また株式投資は、株式市場に参加する方全員の損益を足し合わせるとプラスになる「プラスサムゲーム」です。つまり全員で利益を出していくことだって夢ではありません。そんなゲームをやらない理由はないんじゃないかなと思っています。オンラインやオフラインで投資家同士で繋がりながら、お互い投資を楽しみましょう!
——上原さん、本日はありがとうございました!
※このインタビューの前編はこちらからご覧ください。
※取材・執筆:金指 歩
※この記事は投資家への情報提供を目的として掲載しており、特定商品への投資を勧誘する目的はございません。投資に関する意思決定は、自身のご判断にてお願い致します。