コロナショックから立ち直りつつある、2021年の日本やアメリカの株式相場。今後も値上がりが期待できるのか、それともまだ波乱が続くのか気になりませんか?
そこで今回は、外資系運用会社で日本株のファンドマネージャーとして活躍されている、上原聡さんに直撃取材しました!
彼は資産運用のプロとして働く一方で、投資初心者向けの情報をブログやTwitter、自身が主催する株式投資講座にて提供。2021年3月には、東京・銀座に投資家バー「Stock Pickers」をオープン予定と、精力的に活動されています。
この前編では、投資初心者がやるべきこと、逆にやらない方がいいことなど、投資初心者がすぐに活かせる情報をまとめてお伝えします!
プロの話を聞ける機会はなかなかありません。サクッと3分で読めますので、ぜひ今後の資産運用に生かしてくださいね。
★インタビューの後編はこちらからご覧ください!
株式投資の面白さに魅了され、ファンドマネージャーの道へ
——まずは上原さんの自己紹介をお願いできますか?
上原聡です。私は大学卒業後に外資系証券会社に入社し、日本株のアナリストとして勤務。担当している企業の業績や株価について投資レポートを作成し、機関投資家のお客様に投資のアドバイスを行っていました。
その後は今勤務している外資系運用会社に移り、日本株のファンドマネージャーとして、お客様から預かったお金を運用する仕事をしています。
一例を出すと、投資信託は「個人のお客様が出した資金をまとめて、プロが運用する商品ですよ〜」などと聞きませんか?そのプロがファンドマネージャーですね。
——まさにプロのお仕事をされているんですね!一方で上原さんは社外でも投資家をサポートするような活動を行っています。これはなぜなのでしょうか?
投資に関する正しい知識を普及させたいからです。最近Web上で情報発信されている方の中には、間違った知識や怪しい情報が多く流している方もいます。そんな悪徳業者にだまされてしまう初心者投資家が、すごく増えているなと思って。
株式投資は人生をより良くする手段のひとつだと思っていて、個人的にも大好きです。だから間違った情報を頼りに投資してしまうのは、すごく不幸なことだと思います。なので、正しい投資行動に役立つような情報をお伝えしたいと思って個人的に活動しています。
——株式投資が好きという話がありましたが、上原さんはいつから投資を始めたんですか?
大学時代、たしか1年生から始めたと思います。最初は単純に「お金がほしいな」と思ったんです(笑)。でも株のためにさまざまな会社のビジネスモデルを学ぶうちに、「株を通じて会社や社会を知るのって面白い!」と感じ、株にドハマりしました。
あとは自分が立てた仮説や予想が当たったときにも、テンションが上がりますよね!就職先も「株に関連する仕事に就こう」と思って証券会社に入社したので、大学時代からずっと株に関わっています。
投資初心者が避けるべき3つのこと
——2020年のコロナショック以降、資産運用に興味を持った方が増えたと言われます。投資初心者が株式投資を始めるとき、いったい何から始めたらいいのでしょうか?
まずやるべきなのは「やらないことを決めること」だと思います。何から始めるべきかという質問の直接の答えになっていませんが、初心者はいろんな情報に目移りして混乱してしまうので、まずは逆にやらないことを決めることが大事です。
具体的には、以下の3つは最初はやらない方がいいと思います。
- デイトレードなどの短期投資
- Twitterで煽られている株に「イナゴ」する
- テクニカル分析だけで取引する
先にお伝えしておくと、これらの手法で利益を出している投資家は多いので、投資手法として間違っているわけではありません。ただ初心者がいきなり取り組むのはハードルが高いかなと思うので、あえて挙げさせていただきました。
——初心者ならではの戦い方を知った方がよさそうですね。詳しく教えてください!
まずデイトレードなどの短期投資は、短時間で大きな利益が上げやすいですが、トレード画面に張り付いている必要があるので、日中に仕事がある会社員には不向きです。
初心者が今から始めるなら、デイトレよりも中長期投資で時間を味方につけたほうが勝ちやすいと思います。
次にTwitterなどで煽られている、時価総額の小さな銘柄(小型株)は買わない方がいいです。誰かがTwitterなどで「この株が上がると思いますよ」などと言っているのを見て取引することを「イナゴする」と言います。
誰かに煽られた小型株は、値動きが激しくなって損する可能性も上がってしまいます。またイナゴばかりしていると、自分の頭で考えて投資しなくなるので、きちんとした経験が身につきにくいです。
それからテクニカル分析は、チャートの値動きや各種の指標を見て取引する手法ですが、思ったよりも難易度が高いんですよね。そのため、ファンダメンタルズ分析と併用して投資する株を決めた方がより勝率が上がると思います。
——私、その全部をやったことがありますね。そしてマイナスを出しました(笑)。
もちろん私もやったことがあります(笑)。なので反面教師として捉えていただけたら嬉しいです。
今挙げた内容で伝えたいのは、「思考停止のまま投資していないか?」ということです。誰かの煽りにイナゴしたり、とりあえずテーマ株を買ってみたりしても、経験値はあまり身につかないと思うので、自分で考えて銘柄を選んだ方がいいかなと思います。
日々の生活をヒントに銘柄選び、長期投資+決算プレーがおすすめ
——初心者投資家がやった方がいいことも教えていただきたいです。まず銘柄選びのポイントは何でしょうか?
最初に買う銘柄を選ぶなら、自分の周りで盛り上がっている会社の株を購入するのをおすすめします。ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など難しいことを考えるよりも、最初の株式投資はこれが一番だと思います。
株式投資は、日頃の生活と繋がっているものです。だから「あのお店っていつも繁盛しているな」「この会社の製品が良いって友達が言っていたな」という気づきをヒントに銘柄を選ぶと、意外と良い結果に繋がりやすいと思います。
例えば米国株で人気のエヌビディアという半導体の会社も、その好調ぶりを最初に知ったのは、AIの開発者や半導体業界で働く方々だったと思います。
こうした生の情報は、会社業績や一般メディアの情報よりも早いので、早めに購入しておくことで大きな利益に繋がる可能性は大いにありますね。
——これなら私にもできそうですね!他に何かおすすめできるものはありますか?
私のおすすめは、3年ほどの長期のバリュー株投資と、短期の「決算プレー」を組み合わせて行うことです。
バリュー株とは、企業の適正な価値に対して株価が割安な銘柄のこと。長期目線で成長可能で、かつ割高になっていない株を3年ほどの長期で保有すると、初心者でも利益が得やすいと思います。
ただ長期投資しかやらないと退屈だと感じるかもしれませんし、短期でもっと大きく稼ぎたいと思う人もいるかも知れません。そこで併用してほしいのが、決算プレー。
——何ですか、そのプレー……!
決算プレーは、良い決算を出しそうな会社を予想して、先回りして株を買う戦略です。業績に先行するデータや同業他社の発表資料などを参考にして、良い決算を出して株価が上がりそうな会社を予想します。
業績の先行データさえ見つけられれば、結構期待値が高い投資機会がゴロゴロ転がっているのでやりがいがあるし、予想が当たったときの喜びも大きいです。個人的に大好きな手法ですね。
投資バランスは、長期投資:7割、短期の決算プレー:3割がいいと思います。長期投資でじっくりと腰を据えて運用しつつ、決算プレーで短期の利益を稼ぎに行くイメージです。
決算プレーをやるといろいろな会社のビジネスモデルや決算を見ることになるので、決算プレーで学んだことは長期投資にも活かされると思います。
——この先行データや会社が発表した決算資料などを読み解くのが、初心者にはハードルが高いと思うのですが、おすすめの勉強法はありますか?
初心者向けと言いつつ、たしかに初心者には少し難易度高めかもしれませんね(笑)。
決算資料を読むための勉強は、大手町のランダムウォーカーさんが書いた「世界一楽しい決算書の読み方」がおすすめです。会計クイズを解いていくだけで決算書が読めるようになるので、とても面白いと思いますよ。
あとは正直実践あるのみだと思います。会社のビジネスの内容を見て、先行指標となるデータはないか探してみる。そして実際にそのデータから決算を予想してみて、当たるかどうかを検証する。
これを何社も繰り返すと、決算を予想しやすい会社と予想しにくい会社が自分の中でストックされていくので、当てやすい会社で決算プレーを挑めば良いと思います。
ーー長期投資と短期投資を上手に組み合わせて、いつでも株式投資を楽しめる状態にしたいですね。
※前編はここまで!続きは後編でお伝えします。
今回取材した上原さんは、2021年3月に「投資家バー STOCK PICKERS」をオープン!
現在クラウドファンディングも実施しています。今だけのリターンを用意しているそうですので、ぜひご覧ください!
【投資家バー STOCK PICKERS】
〒104-0061
東京都中央区銀座8-2-14 竜王ビル4階
(新橋駅銀座口より徒歩5分)
月曜日~土曜日:18:00~24:00
日曜日:定休日
※取材・執筆:金指 歩
※この記事は投資家への情報提供を目的として掲載しており、特定商品への投資を勧誘する目的はございません。投資に関する意思決定は、自身のご判断にてお願い致します。